4部分:第四章
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第四章
「まずは私が歌ってね」
「うん」
「次は清音ちゃんね」
「かわりばんこで歌うのね」
「だから。二人じゃない」
当然だと言わんばかりの口調であった。
「それはやっぱりね。二人だとね」
「そう。だからなのね」
「そうよ。二人でね」
また話す静香だった。
「かわりばんこで歌おうよ」
「じゃあまずは静香ちゃんが慎吾ママで」
「清音ちゃんがTOMORROWね」
どちらも確かに明るい曲である。とりわけTOMORROWはそうであった。
「涙の数だけ強くなろうよってね」
「そう。涙の数だけね」
「いい曲よね」
涙と聞いて微妙な顔になった清音にまた明るい声をかけるのだった。その明るい声と同じように明るい表情もそこに見せてもいた。
「強くなるってね」
「強くね」
「そうよ。だから歌おうよ」
やはり明るい声であった。部屋の中の照明よりも遥かに明るいものだった。
「この曲ね」
「わかったわ。それじゃあ」
「後でデュオも入れて」
言いながらもうそうした曲も入れてしまっている静香だった。
「明るく楽しもうよ」
「明るく楽しくね」
「折角生きてるんだから落ち込んでも仕方ないよ」
能天気なまでに眩い言葉が続く。
「そうでしょ?だからね」
「うん」
何とかその目まで笑うことができた。そうして彼女の歌を歌うことができた。その日は二人で何処までも歌った。これは二人の付き合いのはじまりであった。
二人はいつも一緒にいるようになった。そうして清音が何かですぐに落ち込みそうになると。
「ねえ清音ちゃん」
「あっ、うん」
すぐに静香が側に来て。笑顔で彼女に声をかけるのであった。
「今のはね。やっぱり清音ちゃんが悪いよ」
「私が悪いのね」
「そうよ。悪いよ」
この静香の言葉を聞いて皆は。思わず強張った。清香がそんなことを言われればどうなるか、それをよく知っていたからである。
それでその強張った顔で二人のやり取りを見守った。とりあえず何が起こってもおかしくはない、それを心の中で念じながら見守ることになった。
その皆が見守る中で。静香はまた清香に言うのだった。
「あんなこと言ったら駄目だよ」
「駄目って?」
「あの娘が怒るのも当たり前よ」
笑顔だったが言葉は少し厳しいものだった。
「気にしてることなんだから」
「けれど私は」
「言ったら駄目だから」
あくまで清香が悪いというのだった。
「もう絶対にね。言ったら駄目よ」
「私だって言われたし」
「それでもよ」
静香は逃げようとする清香にまた言った。皆そんな彼女の言葉を聞いていよいよとんでもないことになると内心ヒヤヒヤしていた。
そしてそれを何とか隠しながら。なおも二人のやり取りを見守るのだった。
「どう
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