アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 06
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の中で却下した。
このお人好しのことだ。 そんな提案をしようものなら一も二もなく頷くだろう。 アスナの隣で剣を振るい、活路を見出すだろう。
(けど、そんなことは言えない……)
2人が率先して戦地に赴こうとしている理由の大部分は、ただ敵を殺したいと言う狂った狂気だ。 それはアスナにもキリトにもわかる。
だが、その案の裏側……頭の片隅に、アスナやキリトに対する心配があったのも間違いないはずなのだ。
単純な戦闘で足を引っ張ることはないだろうが、ああ言う対多数の戦闘の経験が圧倒的に不足している2人では、どうあってもあちらの邪魔になる。 もしもアスナやキリトが窮地に陥れば、彼らは自身の身に降りかかる危険を度外視して助けに入るだろう。
自身の無力がもどかしい。
もっと私が強ければ。 もっと俺が強ければ。
グルグルと回る思考のリフレインに曝されていた2人の眼前で、それぞれの弟妹が跳んだ。
跳躍は筋力値を中心に補正がかかるアクションなので、アマリがとんでもない飛距離を叩き出し、フォラスがその後塵を拝する。
飛距離がない分(それでも大概の距離だが)、着地の早いフォラスがまずは接敵。
左右それぞれに握られた片手剣が藍色のライトエフェクトを纏うのを見て、アスナは息を飲んだ。
あの手の混戦の場合、ソードスキルを使わないのが基本だ。
技後硬直は隙を作り、その隙は致命的なものになるからだが、フォラスの双剣はそんな常識を簡単に斬り裂いた。
直後に繰り出されるのは、藍色の2連撃。
リーチの短い片手剣の刀身から吐き出される光の軌跡は、手近にいた6体の敵の首を狙い違わず裂き落とす。 別の敵が技後硬直を狙い殺到するが、それらが攻撃圏に入る前に再びの跳躍でその場から脱した。
どうやらアスナが危惧しているよりも技後硬直は短く設定されているらしい。 ホッと息を吐いたのも束の間、フォラスの着地点にいた一団が持つ両手剣が、毒々しい赤の光を帯びた。
迎撃のソードスキル。
最悪の未来を想像して身を固めたアスナの眼下で、重力に従って落下するだけだったはずのフォラスが急激に軌道を変えた。 それはさながら、空を飛ぶように。
「あれは……」
「『疾空』!」
すかさずキリトの驚愕が隣から聞こえた。
疾空。
その名の通り、空中を走るためのスキルで、疾走スキルの派生スキルだ。
正確に言えば、今しがたフォラスがしたように空中で方向転換する使用法がメインで、空中を走ったりはできない。 それこそ今のような状況では便利なスキルではあるが、そもそもの話し、対多数戦と言うシチュエーションが限りなく少ない上にとんでもないバランス感覚を必要とするスキルなので、攻略組でも習得しているプレイヤーは
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