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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 06
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えるのは面倒なんだよ。 敵が目の前にわんさかいて、それを放置しろって? そんなの無理。 もう我慢の限界」
 「あはー、私も我慢できないです。 殺す! ぶっ殺す! 皆殺し! あそこにいるぜーんぶ、私たちの獲物なのです!」

 横取りは許さないですよ! そう宣言したアマリの顔には獰猛な狂喜の笑み。 僕もきっと、同種の笑みを浮かべているだろう。

 気圧されて何も言えない仲間たちから視線を外してストレージからポーションを取り出すと、僕とアマリはそれを呷った。
 キリトに渡したポーションと同じ物を飲み下した僕たちのHPバーに表示されるバフアイコンを見つつ、僕はもう一度アスナさんに視線を戻す。

 「……お願いします」

 幸い、葛藤は短かった。
 現状を打破するために多少の危険は目を瞑るしかない。 それがわかっているだろうアスナさんだけど、その表情は冴えない。
 安心させるように笑いかけてから、僕は小高い丘の端に足をかける。

 「アマリ、もう我慢はいらないよ。 いっぱいいっぱいぶっ殺そう」
 「あっはぁ、素敵ですねー。 全部食べちゃっていいですかー?」
 「いやいや、そこは2人で仲良く、ね」

 「あは」「ふふ」

 2人で笑って、そして跳んだ。

 さあ、パーティーの始まりだ。









 丘の端に立つ2人の後ろ姿を眺めながら、アスナはチクリと胸が痛んだ。
 何故、死地に赴く2人を止めなかったのか?
 そんな思考が駆け巡り、ひたすら己を責め続ける。 いかにフォラスからの提案とは言え、そしてそれが最善だとわかっているとは言え、その痛みが消えることはない。

 「仕方ないさ」

 ふと、後ろからそんな声が届いた。

 「あの2人が行くしかなかったよ。 俺もアスナもあの量のMobとは戦えないし、あいつらが適任だって言う判断も妥当だ」

 アスナがよく知る()らしい、情緒の全てを排した実際的な口調は慰めのつもりだろうか。 それでも声の端々に滲む心配を見て取って、その不器用さに思わず笑ってしまった。

 「心配なら一緒に行ってきてもいいのよ? クラインさんたちがいてくれれば、軍の人たちをなんとか守れるもの」
 「いや、別に心配なんて……そう言うアスナだって心配してるだろ」
 「うん……」

 コクンと頷いたアスナの頭に、ポンと彼の手が乗る。
 攻略最初期の頃、短くない期間一緒に行動していたアスナにとっては懐かしくも愛おしい感覚だ。

 (思えばあの頃から、私はこの人が好きだった……)

 先程とは違う種類の痛みを胸に感じ、その手をやんわりと払う。
 いっそこのまま、キリトを伴ってあの2人を追いかけたい衝動に駆られるアスナだが、その案は言葉にする前に自身
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