彼女達の結末
三 重奏
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た体躯の虫、彼女の糸では断ち切り切れないその巨体の突進の先で漏れ出た声で。
「ッ、反動に気をつけて!」
腕の中。酷く無茶な姿勢で構えたライフルと、放たれた銃弾。体に走る反動を押し殺し。砕け散った巨体、身を守ろうと屈んだ少女。開いた扉へと向けて、駆け。
「閉めて!」
リティの言葉と共に飛び込む。黒髪の彼女は備え付けられた端末を操作し。鈍い音を立てながら閉まり行く扉。飛び込んできた昆虫が両横から閉じ行く扉に挟まれて。
身動きも取れず。身悶える異形と、外骨格の軋む音。割れる音。零れる音。潰れ、落ち、落ちても尚。残る上半身を蠢かせるそれが、撃ち込まれた銃弾に拠って沈黙するのを見届けて。
大きく、息を吐く。虫達から逃げ切った安堵。リティを下ろし、壁にもたれ掛かろうとすれば。
初めに、へたり込んだのは。他の誰でもない、彼女。黒髪の少女で。
「……死んで、しまうかと思いました」
「……そうね。もう死んでるけれど……立てる?」
敵にしては余りに無防備で。どうにも気の抜ける言動をする、そんな彼女へとリティが手を伸ばし。
彼女は。躊躇う事無く、その手を取って。
「ありがとうございます。ごめんなさい、技能移植は受けてるんですけれど、実際の戦闘には慣れてなくて……」
立ち上がり、頭を下げ。流れるように揺れる長髪、明かりを受けて薄く紫色に輝く黒髪。一見してはアンデッドには見えない彼女も、恐らくは。
「貴方は……いや、貴方も、サヴァント?」
問い掛ける。彼女もきっと、キメラや、バルキリー、ネメシスのような。造物主に拠って作り出された腹心なのだろうと。しかし。
「ええ。私はネクロマンサー様の寵愛の子たるサヴァントの一人。自我の無いアンデッドの指揮や、アンデッド製造の補佐等を担当していました、クイーンと申します」
「……して、いました?」
しかし。彼女は、今まで出会ってきたサヴァントの中で唯一。私たちへと手助けを行ってきた存在で。
「……そのことも含めて、お話したいことがあるんです。出来れば、ついて来てはくれませんか」
そう。私たちへと投げかける声は不安気で。今までのサヴァントとは随分と異なる印象の少女に、戸惑いを隠せず。
「……どうする、リティ」
視線を、傍らへと移す。対する彼女も、その心境は私と同じようで。
「……敵では、無いのね?」
躊躇い勝ちに問う。そんな問い掛けへも、やはり。少女は不安そうに。
「信じてはもらえないかも知れませんけれど……敵対の意思は、ありません。他の子達が行った攻撃に対しては、謝ります。けれど、彼女たちにもその、理由が在って……」
言葉を選ぶように。慎重に、半ば、怯えながら。それでも、言葉を紡ぐ彼
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