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或る短かな後日談
彼女達の結末
三 重奏
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に、変わった。今の私と彼女は、支え合い。共に歩む存在であって。
 そんな、私に。彼女は笑みを零す。零れた笑み、彼女の笑みに、思わず、私も、頬が綻び。

 月明かりの下。青い世界。
 針は、糸は、鞄に仕舞い。皹入った地面を、冷えた地面を靴底で叩き。椅子から降りた私に続き、降りる獣の足。マトと二人で此処に立つ。

「……行こっか」

 そんな、時間も。目覚めてからずっと見続けているこの悪夢の中、ほんの僅かな穏やかな時間……大切な時間も、もう、終わり。
 更に、奥へ。この月明かりも届かない。暗い暗いその場所へ。
 行かなくてはならない。再び、暗い、悪夢の中へ。屍肉と、血液と、悪意に塗れたその世界へ。

 此処に来て。此処まで来て。少し、本の、少しだけ。待ち構えるだろう光景を思うと、心細くなってしまって。

「……うん。行こう、リティ」

 不意に。彼女の腕が、私の腕と触れ合う。椅子から降りた彼女。私の隣に立つ彼女。その腕が、私の腕に。優しく――ぶつかると言うには、そう、優し過ぎて――揺れるように、そっと触れる。
 彼女の手は。鉤爪が埋め込まれた手では、私を握ることは出来ず。だから。

「――ええ。行きましょう」

 マト、と。彼女の。隣に居る、居てくれる。彼女の名を呼び。湧き出す恐怖を溶かすように。

 彼女の手首を。強く、握って。





 汚れたアスファルトを踏み締めて。砕けた地面を踏み越えて。遥か天井から剥がれ落ちた液晶の欠片、硝子の破片。割れて落ちた煌めくそれが、靴の裏でまた割れる音。彼女の足を案じたけれど、どうやら刺さることも、傷付く事も無いようで。もしかすると、私の履いたブーツよりも硬いのではないかと思う程。
 そうして、街を越えて行く。民間人の暮らした居住区を出て、軍に所属する者しか通る事の出来なかった通路……この巨大な地下シェルターの中枢へと続く、その道へと足を踏み出して行く。

 私達が此処を通ると分かっていれば、罠なり、敵なり。配置し、待ち構えていても不思議ではない。薄暗い道、所々に設置された照明が、私達を照らし……けれど、その、照明も。奥へ行けば行くほどに、疎ら。段々と暗くなる通路。遂には、視界の奥、見通せないほどの闇に満ちて。

 そんな、景色も。過去のそれと重なる。私は一度、この通路を駆け抜けた。確か、そうだ。軍用の二輪車に乗り、彼女を後ろに乗せて――燃え盛る街へ。壊れゆく新都へと駆け出して。
 暗い道。壊れていく世界。鳴り響いた警報と、混乱。何処で進入を許したのか、雪崩れ込む昆虫兵器と、武器を手に取り駆けつける人々……貪られる人々。悲鳴と、悲鳴と、悲鳴の世界。

 私は。その時。どうしたのだろう。マトの手を引いて、何処に行こうとしたのだろう。立ち向かおうとしたの
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