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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
6話 知りたくなかった絶望感(ディスペア)
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 彼女はその後、余すことなく自分の力を使い熟せるようになり、大きな成長が見られた。
 3年が経った。僕は12歳、リーナは11歳。丁度隊長の腕がSRAの上層部に認められ、第一部隊に繰り上げられたのだ。
 「隊長を誰にするか決めるぞ!」
 最年長であるカイさんが会議の場を仕切っていた。もう彼でいい、誰もが思っていた。
 「前線に出るAB班の中から決めたい」
 当時はトラック1台と四駆1台しかなかった為、2つの班しかなかったのだ。四駆であるA班が、僕とリーナとサジ、それから前に居た隊長。トラック部隊のB班が海彦さんとミレーナ。カイさんはバイクを使い、弾薬を補充していた。
 当時四駆には戦車砲を取り付けて居た。隊長曰く、これが本当の駆逐戦車だと。
 「俺はカリヒがいいと思うな」
 これはカイさんの言動から始まり、僕は隊長に任命された。
 その後、僕は隊長としてどのように振る舞えばいいのか、本を読んだ。
 しかし、本ではわからなかった。その時、リーナは「特に何もしなくていいんじゃないですか?」と呟いてくれた。その言葉がすべてをいい方向へと変えてくれた。
 僕はその時、今までやってきたことをすべて否定された気がした。主のためにご機嫌を取り、皆に好かれようと努力をした。しかしそれは無駄だったよと、彼女は伝えてくれた。
 本当にそれだけのことで人格が2つに別れた。
 何故これだけのことで別れたのか…それだけリーナの言葉に影響力が在ったのか、僕の心が軽量だったのか…難しい事を考えるのはやめよう。僕は変わった。これだけの事実で十分なのだから。だから時より、僕は僕に話しかけられる。

 『そろそろ体を貸してくれよ!』

 僕はそれを振り払う生活が始まった。
 さっき僕は、すべてと言う言葉を使ってしまったがそれは間違いだ。悪いこともある。
 以前使っていた四駆のサイドミラーに自分の顔が写った瞬間。もう1人の僕は話しかけてくる。
 『いつ人を殺すんだ?殺すときは体を貸してくれ!』
 と。
 暗殺者とかは、虫を叩くかのように人の命をバッサリ切り捨てる事ができると、以前読んだ本でそのような表現が在った。それに僕も初めはそんな感覚だっただろう。しかし、自分よりも年が上で、自分よりも地位も名誉も備わった、僕に劣等感だけを掻き立てる存在を殺すことが何よりの快楽だった。
 「おい。カリヒ!ちょっと一緒に酒を飲もうぜ!」
 当時、僕は15。ミレーナは19歳の頃。彼女は酒が大好きだった。当時、娯楽が全くない頃。酒、煙草などのアイテムは近くに点在する、SRAの協力者がよく持ってきてくれるから、と言う理由も在ったのだろう。
 彼女は煙草は臭くて嫌だと言って酒に溺れていた。
 「飲んだこと無いからわからないけど、美味しいの?」
 僕はそれを
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