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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
6話 知りたくなかった絶望感(ディスペア)
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…。
 「そうですね。では問います、信頼されていないカリヒさん。今目の前にいる少女をこれからどうしますか?」
 「この子次第だ。クロノスを殺しそびれて機嫌が悪い。そこの少女は死なないために無様に命乞いをするか、死んだ仲間の仇討ちに来るか?」
 リーナは又メリラの耳元に囁く。
 「落ち着いて答えて?今目の前に居る人に何を伝えたいのかしっかり考えて」
 メリラは呼吸を整え、聞いた。
 「どうして。私だけを生かした?」
 カリヒはそれを聞いて高笑いをする。
 「いや。どちらかを殺すつもりだったし。僕が出てきたってことは誰かが死なないと、維持も、消去も出来ないからね。下手にとどまると感情が入り乱れるからさ」
 答えになっていない返答だ。
 「どうしてアメリカ軍に歯向かう!?」
 「もう二度と、僕みたいな思いをする人を出さないためだ!飼い主に殺されかけ、飼い主を殺し、そして飼い主のせいで快楽殺人者になった!そんな人間がうじゃうじゃと増えていいものか!そんなのゴメンだろ!」
 彼の言葉は工場内を反響し、メリラの耳に入る頃にはカリヒは疲れ果てて倒れた。彼の“殺人”の人格は疲労が弱点。睡眠欲が働くとすぐに意識がなくなる。これは彼が主人格で無いことを現す最大の特徴だ。
 「大丈夫だったでしょ?」
 リーナは少女に向けてニッコリと笑う。
 「あの?あなたはどうして?あなたみたいに優しい人がどうしてアメリカに敵対するんですか?」
 「優しさだけじゃ世界は救えないでしょ?敵対はしているつもりは無いわよ。彼がいるから私はSRAにいる。それに、彼のもう1つの、さっきの人格を作った原因は私に在るの。だからせめてもの罪滅ぼしにって思って」
 その後、メリラは安堵して意識を手放した。


 これは僕が9歳の頃、リーナがSRA、第三部隊に入ってきたばかりの話だ。
 僕が当時の隊長に言われ、リーナの訓練を担当していたのだ。
 「そう。ガード」
 まずは基本体術。僕はリーナの動きに合わせて、守りと攻めを繰り返すが、彼女の攻撃は一撃一撃の力が強く、守りの力加減を間違えると、彼女にカウンターの投技を食らわしてしまったことがあるくらいだ。
 「ごめんなさい。私じゃ無理です」
 彼女はいつも悲観的だった。
 リーナのせいで、当時好きだった読書の時間を切り裂かれていたのだが、それも嫌ではなかった。彼女には僕を惹きつける何かが在った。
 「わかった。リーナ?ところで君は本は好きかい?」
 僕は唐突に聞いた。当時、彼女には体で覚えさせるというやり方は通用しない事を知っていたから、取り敢えずマニュアル化して説明しようと、少なからず僕は思っていたのだろう。
 「文字を教えていただければ…」
 その後、僕は訓練を後回しにして彼女に僕の知っている知識をすべて流
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