4部分:第四章
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第四章
「そうじゃないと車に乗っても今一つ」
「車!?」
車と聞いてだ。ふと津上の顔色が変わった。目の光がだ。
「車といいますと」
「あっ、それは」
言われてだった。自分の失言に気付いてしまった。それからだった。だが言ってしまったことは戻らない。それはどうしてもである。
それに戸惑っているとだ。津上が言ってきた。
「車でしたら」
「はい」
「僕も好きですよ」
にこりと笑っての言葉だった。
「それもかなり」
「お好きなんですか」
「それとバイクも」
そちらもだというのだ。
「バイクもです」
「バイクもですか」
「はい、実はですね」
そしてまた言う彼だった。
「昔から好きで。実家がバイク屋で」
「そうだったんですか」
「バイクはカワサキです」
「いいですよね、カワサキは」
先生もカワサキの名前に笑顔になる。実は高校の時からバイクはずっとそれである。それに乗って夜の街をかっとばしていたのである。
「やっぱり」
「そうそう、仮面ライダーになった気分になれますし」
「仮面ライダーですか」
「そう、いつもお客さんに言われてます」
実家のそのバイク屋のお客ということだった。
「仮面ライダーみたいだって」
「お客さんにですか」
「子供の頃から言われてまして。それで気付いたら」
「自分でも乗られたんですね」
「今もです」
こう先生に笑顔で答える。
「やっぱりカワサキが一番格好いいですよ」
「ハーレーがロマンだって言う人もいますね」
「ええ、ハーレーも扱ってます」
津上はそれもだという。
「けれどあれは」
「お好きではないですか?」
「好きですけれど乗るまでが大変ですからね」
「高いですね」
「そう、だからロマンです」
そのロマンの為に金を使う。まさにハーレーの為にだ。ハーレーを愛する者はその為には金なぞ惜しむことはないのである。しかも全くだ。
「カワサキはそれとは違いますね」
「ヒーローですよね」
「はい、本当に。ただ」
「ただ?」
「ホンダのワルキューレも嫌いじゃないです」
今度はホンダであった。
「あれも」
「ワルキューレですか」
「あれはどうでしょうか」
「はい、あれもいいですね」
目をきらきらとさせての言葉だった。先生は自然とそうなっていた。
「あのデザインが。かなり」
「いいですよね」
「カワサキもいいですがホンダもかなり」
そんな話をしてだった。二人はすぐに意気投合した。すると先生はだ。車での登校からだ。バイクになったのであった。そのカワサキである。
バイクをかっとばし学校に来る先生をだ。生徒達は驚いた顔で見ていた。
そしてだ。そのうえで言うのだった。
「何かあったみたいだよな」
「ああ、車止めたのか
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