Lost Memories
プロローグ
3 星屑の漂流者
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て、手を掴もうと必死だった。
「……やっ、と……やっと……会えた……」
彼女は希望に満ち満ちた目をしていた。今にも涙を流しそうな、そんな、とても感極まった表情だった。
それだけ先ほどの流星の衝撃が凄まじかったということなのか。助けが来たことが、どれだけ彼女にとって救いであったのか。それを激しく感じさせられた。
でも、限界だったようだ。彼女は僕の手を掴むことなく、そのまま意識を失ってしまった。
急いで呼吸の有無を確認すると、しっかりと行われていた。
それが判れば話は早い。一刻も早く家へ連れ帰って、治療するんだ。
なあに、問題なしだ。僕は救護に一応自信がある。
彼女に負担をかけないように、あまり体制を崩さないように、そっとお姫様抱っこをした。
「わ、軽い」
少女は想像を絶する軽さだった。まさか痩せ型の人よりも軽いなんて……。
でもおかげで、運ぶのが相当楽になった。運が良かった。
あれ、でもこれだとバッグが持てないや。
どうしようか。今更体勢を変えるのもかえってこの子の負担になるだろうし。
…………。
「父さん……ごめんなさい」
カレイドスコープよりも、この子の命が最優先だった。
どうしてだろう。人間らしい思いかもしれないけれど、それ以上の何かを感じる。
この少女を助けたいと、心からそう思っていた。
僕は星屑ヶ原を急ぎ足で出て行った。
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