第12話「えんそく」
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...。」
音を立てずに覗くと、他の場所より圧倒的に多いが、奴らが徘徊しているだけだった。
「...これだけの量、気づかれるのは危険すぎるな。」
早々にここを離れた方がいいだろう。
棒を再びかけて、皆の所に戻る。
「遼君!中、どうだった?」
「えっ、ああ....結構人がいたよ。入れそうにない。」
「そっかー...残念。」
戻って早々由紀に話しかけられたので、咄嗟に誤魔化す。
「....どうだったんだ?」
「...どこもかしこもダメだった。中には外からロックを掛けられた場所もあった。」
「だよな...。」
こんな状況で生きてる方が珍しい。
「次、行こうか。」
念のため映画館の方を警戒しつつも、俺たちは歩き出した。
「ここは.....。」
重いダンボール箱が積み上げられたのを見上げながら俺はそう呟く。
「わぅぅ....。」
「太郎丸、ここに来たことあるの?」
「わん!」
...よく見れば上の方にある小窓が開いている。あそこから出てきたのだろう。
「...外に積まれてるって事はおそらく....。」
中は悲惨な事になってるだろう。しかし、念のため確認しておこう。
「少し荷物を頼む。」
「ええ。分かったわ。」
「気を付けろよ。」
鞄を悠里に預け、ダンボール箱の壁をよじ登る。
上りきると、ドアとダンボール箱の間に僅かに隙間あったので、そこに入り込み、ドアを開けて中を覗く。
「こいつは....。」
中にはやはり奴らが徘徊していた。...しかし、相当広い。
「(ここから確認できるだけでも部屋がいくつもある...。おまけに、避難生活の形跡も見えた。....と言う事は、生存者がいたって事か....。)」
しかし、見るも無惨な状況になっている。
「.....ん?」
「どうしたー?」
疑問の声を上げた俺に、胡桃が聞いてくる。
「...いや、中は悲惨なんだが、一つだけ無事なドアがあってな...。ちょっと見てくる。」
「あっ、おい!」
上手い事ドアを抜け、中に入る。
...やはり、あまり気づかれていないな。刀とハンドガンは持っているし、大丈夫だろう。
「...ここか。」
ドアの窓には血の手形が付いており、中にはダンボール箱が積まれていた。
「奴らは....いないな。」
辺りの様子を伺ってからノックをする。
「誰か!中にいるのか!?」
できるだけ響かないような声でそう言う。
「―――っ!?」
「(誰かいる...!)」
誰かが跳ね
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