11.小川攻防戦。そして犯罪者・鈴谷。
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が、私と霧島の沈んだ気持ちを持ち上げてくれた。
「負けてられないネー!! 霧島!!」
「はい! お姉様!!」
勢い良くそうめんを平らげていく鈴谷に負け時と、私と霧島もそうめんを口に運んでいった。航空巡洋艦と戦艦の格の違いを見せつけるいい機会だと思った。その日は、旅館始まって以来のそうめんの消費量を誇ったと女将さんから聞いた。
3人でそうめんを平らげた後、私たちは部屋の縁側でしばらく昼寝したあと街に買い物に出た。この街の風情を楽しみたくて、車には乗らず歩いて街まで出ることにした。
「のんびりしたいいところだね〜! ほら金剛さん!! トンボがいるよ!!」
鈴谷は相変わらずはしゃぎまくっているが、それも最初のうちだけだった。十数分も歩いていると、その暑さにバテたのか……
「ヒー…ヒー…鈴谷……ちょっと……マジ暑いんですけど……」
と死にそうな声で悲鳴を上げていた。実際、涼しげで軽装っぽい服装の霧島や私に比べて、鈴谷の格好はまさに冬服に近い感じだ。一応今はブレザーを脱いでいるが、それでもインナーも夏仕様ではないため、さぞ暑かろう。
そんな鈴谷に構うことなく田んぼのあぜ道を歩いていると、プール帰りの小学生たちがはしゃぎながら歩いている光景を何度か見た。
「こんにちわー!!」
すれ違う子たちは皆、私たちに元気よく挨拶をしてくれた。
「元気な子ネー! 小学生デスカー?」
「そうです! お姉さんたちはどこから来たんですか?」
「鈴谷たちはね〜。海の向こうから来たんだよー」
「へ〜。本州から来たとですか?」
「そうだよ〜」
さっきまでさんざんバテていたことも忘れ、鈴谷は相変わらず人生を舐めた馴れ馴れしさで男子小学生の頭を撫でた。丸坊主の男子小学生の頭は刈りたてなのかジョリジョリとしており、鈴谷はその感触を楽しんでいる。
「ぉおおぅ……いい手触りだね〜……じょーりじょーり……」
「鈴谷…言葉からデンジャラスな香りが漂うネ……」
「そんなことないよー。キミもお姉さんにじょりじょりされてうれしいもんねー?」
「うう……」
「ティヒヒヒ……じょーりじょーり……んん〜ふっふっふふぅ……じょーりじょーり……」
「その言い方は犯罪者よ鈴谷……」
このままでは変質者だと周囲に誤解されかねないと判断した私たちは、頭を撫でられている小学生から鈴谷を無理やり引き剥がし、服屋に急ぐことにした。
30分ほど歩いたところで街に出た。昨日車でここまで来る途中に見つけた和服の服屋がある。私たちはそこで服を買うことにした。
店に到着するなり、鈴谷は冷房機の前に向かい、スカートをバタバタと煽って涼を取っていた。これには私達を出迎えた女性の店員も少々驚いたようで、苦笑いが隠しきれ
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