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平常心
4部分:第四章

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第四章

「お店の外から」
「えっ・・・・・・」
「ずっと僕のこと見てましたよね。ですから」
「わかってたんですか」
「はい、実は」
「そうだったんですか。気付いていて」
「それでは」
 また言う健斗だった。
「一緒に」
「はい・・・・・・」
 未来帆は笑顔で頷いた。これで全ては決まった。そうしてであった。
 先生は未来帆からその話を聞いてだ。笑顔でいた。そして言うのだった。
「平常心ね」
「平常心ですか」
「いつもの安達さんだったら緊張し過ぎてとても言えなかったわよね」
 このことを指摘したのである。
「そうよね」
「それは」
「けれど勇気を出して言った」
 このことも指摘するのだった。
「そうよね」
「はい、それは」
「それがよかったのよ」
「それが平常心ですか?」
「もう緊張してどうしようもなくなっているのを勇気を出して元に戻して」
 そして言う言葉はだ。
「平常心を取り戻したわね」
「そういうことなんですか」
「そうよ、そういうことよ」
 笑顔での言葉だった。
「わかってくれたかしら」
「ええと」
「頭でわかっていなくてもいいから」
 それでもだというのだ。
「けれどわかったら」
「わかったら」
「それでいいのよ。それでね」
「そうですか」
「そういうことよ。勇気を出して平常心に戻って」
 緊張からそこにだ。戻したというのである。
「それで言えて幸せになれたのよ」
「私は、ですね」
「ええ。平常心よ」
 またこの言葉をだ。未来帆に対して話す。
「何でもね」
「わかりました」
「見て」
 そしてだった。先生はここでだ。あのメトロノームを出してきた。部活でいつも使っているそのメトロノームを出してきたのである。
 それを未来帆の前に置いてだ。また話すのだった。
「メトロノームはいつも動いてるわね」
「はい」
「こうして。いつも決まった動きをして」
「左右に」
「これと同じよ」
 こう話すのだった。
「これとね」
「同じですか」
「そういうことよ。このメトロノームみたいにね」
「きちんとした動きで」
「心もしっかりすればいいのよ」
 先生は話す。その未来帆に対して。
「わかったわね」
「はい、しっかりと」
「これからも頑張ってね」
 笑顔もだった。未来帆に向けたのである。
「このメトロノームみたいに平常心で」
「わかりました」
 そんな話をしたのだった。その間もメトロノームは決まった動きをしていた。それこそがであった。まさに平常心そのものであった。


平常心   完


                 2010・6・1

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