Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
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けでなく私も素直に驚いていた。
そんな私たちの気持ちに答えるように、ボスと素手同士の鍔迫り合いをしていた一護は、少しずつ敵の拳を押し返しながら、
「……なに驚いてんだよ。素手の攻撃が、同じ素手で止められねえわけ、ねえだろ!!」
言いきり、同時にボスの腕を掴み直して捻じり上げ、手前に引っ張り込んだ。
押し合いから一転、全面に引っ張られたことでボスの上体が揺らぐ。その隙に一護の刀が閃き、連続技が開始された。
下段からの斬り上げに斬り払い二発、さらに再度斬り上げ――と見せかけて、刃をうねらせるように急旋回。逆袈裟を叩き込んで、トドメに下段から思いっきり突きあげる。
フェイクを織り交ぜたカタナ用五連撃《狂渦》だ。パワータイプの技でありながらもフェイントを含む珍しいソードスキルをまともに受け、HPをレッドゾーンまで削られたボスは、再び後退を強いられた。
「軽量級のボスってのは、やりやすくていいな。重量級相手だと、こうはいかねーしよ」
いや別に軽量級でも重量級でも、ボス相手にそんなことができるのは貴方くらいでしょ。
独りごちた一護に私が心の中で突っ込みを入れた直後、視界の先から何かが飛来。同時に一護が刀を一閃。鋭い弧の形に見えた紅いそれを迎撃した、ように見えた。
「クソッ! いきなり速度が上がりやがった」
そう毒づく彼のHPは、一瞬前と比べて僅かではあるが削られていた。声に含まれた苛立ちが、彼の心境を物語る。
「……ねえリーナ。今の、見えた?」
「紅い三日月型の光が飛んできたのが、かろうじて」
アスナと同じくHPを削られていた私は、体力回復用のポーションの空き瓶を咥えつつ、ボスから目を逸らさずに言った。
「状況から見て、一護はその光を刀で防いだ。けど、その瞬間は見えなかった。HPが減ってるってことは、多分防ぎきれなかったんだろうけど」
「うん、そっか……私なんか、紅い光が瞬いたことしかわかんなかったよ」
アスナに見えない。私も完全には見切れない。見切れても、一護でさえ防ぎきれない。
高レベル三人が揃ってコレってことは、おそらく、予備動作を見極めないとヒットがほぼ確定の理不尽系攻撃だろう。一刻も早くパターンを見つけて、次の戦闘で対処できるようにしておかないと。
空中に飛び立ち連続して紅い閃光を放ってくるボスと、それを躱し弾き飛ばす一護。なんとか軌跡だけは目で追えるそれを見ながら、私はその予備動作を探しつつ、次のスイッチに備える。
「チッ!! 反応はできても刀の速度が追っ付かねえか。 こうなりゃ……!」
地味にHPを削られてストレスが溜まってきたのか、イライラを隠そうともしない一護はその場から大きく飛び上がり、閃光の射線から逃
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