Lost Memories
プロローグ
1 夢のカレイドスコープ
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この宇宙は広い。僕たちが想像する、何十倍、何百倍も。もしかしたら、終わりなんて無いのかもしれないとすら、感じてしまうほどに。
宇宙はあまりに輝かしい。無数に煌く星々は、この世のものとは思えないほどに幻想的で、神秘的だ。手を伸ばしても届かない。そして、誰一人としてたどり着いたことが無いという事実が、余計にそれを思わせる。
古代人は星々を繋ぎ、安易に星座なんてものを作り上げた。
けれど僕は、それらに感動は覚えない。あくまで、人類が作り上げたものだと断定できてしまうためだ。そこに「宇宙人」が作り上げたというような、SF的な感動は存在しない。だからまだ、地上絵や、ピラミッドの方が、遥かに感動を覚える物だと思ってる。
要するに、僕は「オカルトチックな物」に憧れているのかもしれない。勿論科学も嫌いではないけれど。
いやいや、空想でないことを祈りたいとも思う。宇宙人はどこかに存在していて、きっと僕たちを見つめている。だから、いつかこの目で、その広大な宇宙にある「異星」。ここに生きる命に、触れてみたい。
「それが、僕の目標かな」
「ほぉー」
話を聞き終えた父さんは、少しだけぽかんとしている。
なんだか話が大きすぎて、意味を若干理解しかねているようにも見える。
春休み(正確には中学準備期間)に入って直ぐのこと。父さんは突拍子もなく僕に、欲しいものを訪ねてきた。そこで僕は、カレイドスコープと即答した。喉から手が出るほど欲しかったからだ。
父さんはその素早さに若干引き気味になっていたけれど、気を取り直して、直ぐにその理由を問うてきた。だから、僕は自分の宇宙に対する想いを赤裸々に語って、今に至る。
「ルイ。お前、本当に俺の子か? 夜天ヨノウエ家の血統者か?」
「生前母さんが父さんに呆れて、浮気してなかったならね」
「――………………大丈夫だ!」
その結構な間は何ですか。こわいよ。
ネタのつもりで振ったけれど、傷口を抉えぐった気がしないでもない。
「まあまあ。とりあえず、そのカレイドスコープを私学への合格祝いと、卒業祝いを兼ねて買うことにしよう」
「えっ、いいの!?」
「ああ、いいよ」
まさか、念願だったものが、こんなに早く手に入るなんて。
もしかしたら大学生になるまで買えないかもしれないとまで思っていた物だったのに。
卒業式に引き続いて泣きそうだ。目頭が熱い。
「ありがとう……父さんっ!」
「気にすることはないよ。ってか泣かないでくれよ」
「うっ……泣いてない!!」
「うそつけ、一粒流れてるぞー」
「うぐっ」
一対一だと、父親には敵わない……。かくなる上は。妹さえこの場に居れば、弄り返すことは容易かったろうに。
次の日、父さんと遠出し
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