第171話 襄陽城攻め4
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に言った。
「雪蓮姉様、何を言っているんです! 母様は本調子ではないんです。今、ここを動かすなんて本気なんですか!?」
孫権は孫策の考えが理解できないという顔で見ていた。甘寧も孫策の考えには同調できない様子だった。
「怪我はないみたいだから大丈夫でしょ。ここに母様を置いておく方が心配だわ」
「雪蓮様、お言葉ですが傷は清河王に塞いでいただんです。清河王に傷を治療していただけば、今頃文台様は死んでいました。文台様は大量の出血で身体が本調子ではありません。ここは清河王のお気遣いに縋るのがよいと思います」
甘寧は神妙な顔で孫策に孫堅が重傷を負った状態にあったことを切々と説明した。だが、孫策は納得いかない様子だった。今の孫堅の様子を見る限り、身体に瀕死の重傷を負った痕跡はない。孫堅の顔は確かに大量の失血によるものなのか顔色は青く血の気がないことは確かだったが。
孫策は今一度母孫堅を凝視した。彼女の表情は妹・蓮華の考えが納得できないようだった。孫堅の容態に違和感を覚える孫策は母をさっさと自分達の陣所に連れて行きたいのだろう。
「やっぱり母様を連れて行くわ」
孫策は孫堅を抱えて連れて行こうとした。
「何を言っているんです!」
「雪蓮様、お考えなおしください」
孫権と甘寧は孫策を慌てて止めた。
「何なのよ!」
「母様を動かすのは止めてと言っているんです!」
孫権は怒りを抑え孫策に言った。
「蓮華、母様には思春の言うように首と胸に傷跡すらないじゃない。まあ、顔色は悪いけど。それは多分は歳のせいよ。暗かったから見間違えたんじゃない」
孫策は邪魔する孫権が気に入らないのかぶっきらぼうに言った。
「思春を疑うの」
孫権は孫策のことを睨み付けた。
「疑ってはいないわよ」
孫策は孫権の剣幕に尻すぼみに声が小さくなった。
「母様達は乱戦でかなり追い込まれていたみたいだし気が動転していたんじゃない? だって傷がないじゃない」
「母様が率いた兵達は殆ど死んだのよ。そんな乱戦で母様や思春に傷がないなんてあるわけないでしょ! 思春が清河王に頼み込んで直していただいたんです」
孫権は怖い顔で孫策を見ると、部屋の隅にある布をかけた竹細工の籠を持ってきた。彼女は孫策が甘寧の言葉を信じていないことが許せないようだった。
「これで無傷だったというんですか?」
孫権は布を乱暴に開けて孫堅に中身を見せた。中身は孫堅の衣服だった。その服の血は乾いているがどす黒い血で染まっていた。特に胸元は返り血を浴びついた染みではなく、孫堅の出血により滲んだものだろうことは孫策に理解できたようだった。
「ちょっと。これ何なの!?」
孫策は驚いた顔で孫堅の服を掴んで凝
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