第171話 襄陽城攻め4
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孫策に声を掛けたのは愛紗だった。愛紗は気さくな雰囲気で孫策に近寄ってきた。孫策は止められたことに苛立たしそうな表情だったが、直ぐに平静を装った。不自然な笑みを浮かべ愛紗のことを見た。
「今、急いでるんですけど?」
孫策は頬をひくつかせながら笑顔を作っていた。愛紗も孫策の雰囲気に気づいたのか申し訳なさそうに頭をかいた。
「お母上の件でしたね。私と一緒にいかれますか? ここは私に任せて、持ち場に戻るといい」
愛紗は孫策の案内役を買ってでると守衛に命令し下がらせた。
「ささ、急いで向かいましょ」
孫策は愛紗の言葉を聞き終わるのも待たず急いで走りだした。その様子を愛紗は見送った。
「そう急がずとも。孫文台殿の傷は大丈夫ですのに」
愛紗はキョトンとした顔で孫策の去った方向を眺めていた後、孫策を追った。
孫策は本陣内を勝手に移動し道に迷い右往左往していたが、彼女の後を追いかけてきた愛紗の案内で孫堅が休む天幕に案内された。彼女は愛紗に礼を言うのも忘れ、愛紗を押しのけると天幕の入り口を覆う幕を上げて中に入っていった。遅れて愛紗も入っていった。
「母様!」
孫策は天幕内に入ると母・孫堅を探すように中を見渡した。孫堅は天幕内の奥に設営された仮設の寝所に寝かされていた。側には孫権と甘寧がいて、孫堅の看病をしていた。
「雪蓮姉様!」
孫権はいきなり天幕に入ってきた姉・孫策の姿を確認すると驚いた様子で声を上げた。
「蓮華、母様は大丈夫なの!?」
「雪蓮姉様、落ち着いてください。母様は無事よ。母様は疲れて眠られているわ」
孫権は動揺した様子の孫策を落ち着かせようと宥めていた。
「そう。無事なのね」
孫策は呼吸を整えながら孫堅の側に駆け寄ると、甘寧は孫策に場所を譲った。
「母様、心配させないでよ」
孫策は孫堅の顔を見ると安心した表情に変わり、眠る孫堅に抱きついた。その様子を孫権と甘寧は笑顔で見ていた。愛紗も孫策の様子を微笑ましそうに眺めていた。
「関雲長殿、姉を連れてきてくれてありがとう」
孫権は関羽の存在に気づくと、立ち上がり関羽に声をかけた。
「いいえ。大したことはしていません。それでは私は失礼させてもらいます」
「本当にありがとうございました。負傷した兵の治療もしていただき感謝のしようもありません。清河王には後ほどお礼に参らせていただきますとお伝えください」
「しかと承りました。孫太守もゆっくりと療養されてください」
愛紗は孫権から正宗への言づてを伝えることを約束すると去っていった。二人の会話に聞き耳を立てていた孫策は顔を上げた。
「蓮華、母様を私達の陣所に連れて行くわよ」
孫策は開口一番に孫権
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