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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第171話 襄陽城攻め4
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が、体調が悪く身体が気だるいこともあり、正宗に抱きかかえられることを拒否しようという様子はなかった。

「孫文台の兵達よ。お前達の主人は見ての通り身体が思うように動く状態ではない。これより一時的ではあるが、お前達は私の麾下に入って貰うぞ。不服ある者は名乗りでよ」

 正宗は威厳に満ちた様子で孫堅兵達に言った。彼らは既に精も根も尽き果ている様子で正宗に異を唱える者は一人もいなかった。正宗が援軍を寄越さなければ全滅していたことを考えれば、孫堅が動けない以上彼らに選択の余地などあるはずがないだろうが。

「皆、不服はないようだな。今から撤退を行う。余の軍が殿を勤める。お前達は先に撤退せよ」

 孫堅兵達は正宗の命令に悔しそうな表情をするも何も言わなかった。正宗軍に助けられ、殿の役目を彼らに任せて逃げるように戦場を去ることが情けなく感じたのかもしれない。だが、そうする意外に道がない以上、孫堅兵達は正宗の命令に従うしかなかった。

「その様に情けない顔をするでない! 敗北は兵家の常。悔いるなら戦場で晴らせばいい。生きてさえいれば、その機会は幾らでも訪れよう。今は生き残ることを考えよ」

 正宗は厳しい顔で孫堅兵達に叱咤した。彼らは恥じ入り、先ほどと違い生気を感じさせる表情に変わった。
 正宗は孫堅兵達の様子の変化を感じ取ると孫堅を抱き抱えたまま踵を返した。

「清河王はどうなされるのですか?」

 甘寧が正宗に言った。正宗が殿(しんがり)に加わり直ぐに撤退する様子がないからだろう。本調子でない孫堅を連れて敵地である襄陽城に残られることに不安を覚えているようだった。確かに甘寧達だけでは孫堅を味方の軍まで連れて行くのは大変だが、それでも正宗達と行動を共にするよりましだと思ったのだろう。

「孫文台は私に任せておけ。私も直ぐに撤退する。撤退後にお前達と合流し、味方の軍まで馬に同乗させ連れていってやるから安心するがいい。だが、その前に襄陽城の最奥に籠もるやつに伝えることがある」

 正宗はそう言い孫堅を抱いたまま馬に寄り先に孫堅を馬に乗せ、自らも騎乗した。彼は孫堅を自らに抱き寄せるようにすると馬の手綱を叩いた。

「甘興覇、孫文台は私に任せておけ。お前達はここから早く撤退せよ」

 正宗はそう言い残すと馬を走らせた。甘寧は正宗と孫堅の後ろ姿を見送ると、直ぐに部下達に命令を出し撤退の準備をはじめた。



 正宗は蔡瑁軍が瓦解し一方的な狩り場と化した戦場に乱入していた。生き残った蔡瑁兵達は正宗兵達に怯えた様子でへっぴり腰で震える手で槍や剣を持ち、逃げる隙を探し目を泳がせていた。正宗が乱入し彼の馬がいななくと蔡瑁兵達は一瞬肩を堅くして身体を震わせた。
 正宗は双天戟を振り回しあっという間に周囲にいた蔡瑁兵五人の息の根を止
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