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Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Extra Episode "Deathberry @ X-mas"
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 フォークを投げ捨て咄嗟に臨戦態勢を解き、着の身着のまま二人は窓から飛び出した。
 そのまま隣の家の屋根に着地し、音の発生源へと駆けだそうと脚を踏み出す――。


 寸前、打ちあがった特大の花火(・・)が空に弾け、同時に再びの爆発音を轟かせた。
 

 最初は一度で収まったが、すぐに二度、三度と連続して鳴り響き、同時にすっかり陽の落ちた街は極彩色に彩られる。その派手な色と音に道行く人々も立ち止まり、夜の街に咲く火焔の花を眺めていた。

 すっかり意識を非常事態のそれに切り換えていたらしい二人は、しばしそのまま固まっていたが、やがて自然に緊張を解き、毒気を抜かれたようにその場に立ち尽くした。

「……すっげえ」
「……うん」
「去年は、こんなんあったっけか?」
「ううん、なかった……かな? 分からない。多分この時間、去年は迷宮区にいたと思う」
「そうだっけか」
「うん」

 短く言葉を交わし、上空を見上げる。
 視線の先には次の階層、五十層が屋根となって覆いかぶさっており、赤青緑と七色に輝く花火のキャンバスのようになっている。円、星型、柳と多様な形で炸裂する爆発する芸術。薄い部屋着のままで、二人はただ立ってそれを見続けていた。

 やがて、リーナが硬直から抜け出した。右手を振ってウィンドウを呼び出し、アイテム欄からカップと白ワインを取り出し、片方を一護に差し出した。

「……えっと、その、ごめんなさい。言い過ぎた」
「……え? あ、ああ。俺もまあ、悪かったよ。ムキになっちまった」
「きっとお腹が減ってたせい。うん、そうしよう」
「なんかガキみてえな理由だけど、まあ、それでいいか」

 苦笑を浮かべながらカップを受け取り、互いにワインを注ぐ。緑がかった液体が二つのカップを満たしていった。

「んじゃあまあ……互いに悪かったっつうことで、乾ぱ――」
「待って、せっかくのクリスマスでしょ。もっといい音頭があるはず」
「は? ……ああ、そっか。それもそうだな」

 咲き誇る満点の花火の群れ。それを背景に二人は向きあい、軽くグラスを合わせて、

「「メリークリスマス」」

 寸分のズレもなく、唱和した。
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