Chapter 3. 『世界を変えた人』
Extra Episode "Deathberry @ X-mas"
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いけないんダ。
今のベリっちの隣に立てるのは、同じ強さを持ったリっちゃんだけダ。詳しくは知らねーケド、他にも隣に立とうとしてる奴も、きっといるハズ。だから、ベリっちに必要なのは、傍で感覚を分かち合う人よりも離れたトコからアイツを見守り分かってやれる人。別に確証なんてねーケド、迷いなくオレっちはそう思ったタ。
だから、オレっちがそうなるンダ。いっつも強気なアイツがやらかした時に、少しだけ背中を押してやれるような、そんな存在ニ。オトナのオネーサン、なんて日頃から言ってるからには、退く勇気の一つくらいは持ってねーとナ」
カップを玩びながら、アルゴは目を細めて語った。その金の瞳には悲哀の色は一切なく、大人特有の慈愛に満ちていた。
「……なんか、想像以上に本気で一護のこと想ってるんだな、お前」
「ニシシ、マジに内緒だゼ? コレ……あ、そうそう」
ふと思い出したように、アルゴはエギルの方を見た。禿頭の巨漢は、怪訝そうな目でその視線に応える。
「ついでに言っとくケド、ギルさんは圏外ナ。まあ、こんなコトぺらぺら喋っちまった時点でお察しだけド」
「ついでに言わなくていいだろ! 大体、俺にはリアルで妻がいるんだ。こんなところで不貞をはたらくつもりはねえ!」
◆
四十八層主住区、リンダースにある一等級の宿。
その最上階である三階の角部屋、スイートルームで一護はリーナと合流していた。アインクラッドでは珍しい「ルームサービス」システムや広いバスルーム、安宿よりも遥かに上質なベッドにリーナが食いついた結果、この部屋は一護たちによって一週間先まで占拠されることになっている。宿泊料金も当然それなり以上ではあるが、全て前払いで支払が済んでいる。
執事然とした老NPCによって届けられた五人前のルームサービスに早速取りかかるリーナに対し、一護は呆れ十割といった視線を向けた。
「どこまで底なしなんだよ、オメーの食欲は。いくらなんでもドーナツ十個の痕にガチの晩メシは度を越えてんだろ」
「ングング……仮想の胃袋に限界は無い。食べようと思えばいくらでも入る」
「オメーだけバグってんじゃねえの? ソレ」
巨大なチキンの肉をナイフでこそぎ落とす一護の言葉を、リーナはホットサラダを咀嚼することで無視した。色とりどりの野菜の束が、凄まじい勢いでリーナの口腔内に消えていく。
「この前もサチの料理ドカ食いしやがって。奴の厚意で食わしてもらったモンを、少なく見ても十人前は食いやがって。ちっとは自重しろよ」
「私がワガママ言って作ってもらったならともかく、厚意で出してくれたなら遠慮も容赦もしない。向こうも別に構わないって言ってたし、問題は無いはず」
「社会にはタテマエとホンネってのがあんだよ。アイツが皆のため
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