10.私はあなたが好きです
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らなる戦闘能力の向上が見込めるようになる制度だ。私も例外なく、彼からカッコンカッコカリを申し込まれることを夢見ていた。
「知ってマス。練度を極限まで高めた艦娘と指揮官が指輪を通して結ばれることで、さらなる戦闘力の向上が見込めるようになる制度ですヨネ?」
「うん。……正直ね。この話を聞いた時、おれはふざけんなって思った。練度向上はいい。そういう艤装があるのもいい。でもカッコカリといえども、結婚の形を借り、その名を冠するのはどんな悪ふざけだと思ったよ。こんなの、信頼してくれる艦娘にも失礼だとおれは思ってた。だからおれは、誰にもこの指輪は渡さないつもりだったんだ」
改めて私は、提督の優しさに関心した。たとえ目的が戦闘能力の向上であったとしても、名称が“ケッコン”であるだけに、そこには私たち艦娘にとって特別な意味が付随してくる。そんな特別な意味を持つ“ケッコン”という言葉を、ただの練度向上としての儀式として捉えることに、彼は嫌悪感を持っていたようだ。
「でもさ。五月雨が言ったんだよね。『それでも“ケッコンカッコカリ”は、私たちにとって大切なものなんです。提督からケッコンカッコカリを申し込まれるのは私たち艦娘の夢なんです。私も待ってましたし、金剛さんもきっと待ってます』って」
「五月雨が?」
「ならばおれも覚悟を決めるべきだと思ったよ」
彼は手に持っていたティーカップを机に起き、私の隣に立った。彼は窓の外の鎮守府を眺めた。その横顔は、男性への形容としてはおかしいかもしれないが、本当に美しかった。
「……金剛がはじめてティーパーティーに招待してくれた時のこと、覚えてる?」
よく覚えている。今まで自身がティーパーティーに呼ばれず、私の紅茶とショートブレッドを食べられなかったことにへそを曲げた日だ。あの時の私たち姉妹の混乱ぶりは、今もいい笑い話になっている。
「よく覚えてマスヨ?」
「あの時、みんな私服だったよな」
「デシタネ」
「金剛はワンピースとアーミージャケットだったよな」
「テートク、よく覚えててくれてましたネー」
「うん。よく似合ってて、可愛くて、綺麗だったから」
「……What?」
「あの時の金剛は、着てる服が似合ってて、本当に可愛かった。見とれたよ」
「……そ、そんなふうには見えなかったデース」
「必死に隠したもん。金剛に惚れてるってバレたくなかったもん」
私のときと同じだったのかもしれない。彼からの告白はあまりに唐突で、あまりに自然だった。ともすれば聞き漏らしてもおかしくないほどに、あまりに自然な会話の流れの中での告白だった。
「あの時おれ、初めて頭なでたろ?」
「ハイ。とても心地よかったネー」
「おれな。あの時、緊張とうれしさで、心臓バクバクしてたんだよ」
「う
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