暁 〜小説投稿サイト〜
彼に似た星空
10.私はあなたが好きです
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ってきた私…一番大変な時を乗り越えた私たちに、神様がくれたご褒美なのかもしれない。そう思うと、私の心もなんだか暖かくなってきた。

「そうネー! なんだか特別扱いされてるみたいネ!」
「はは…たしかにそうだ…ゼハー……」

 私達はお互いの顔を見合った。そして、誰ともなく笑った。私は笑いながら、提督が一番最初に私を建造してくれたことに感謝した。そうでなければ今、この空間で提督と五月雨と共にはいられなかっただろう。こんなにも温かい気持ちを抱くことはなかっただろう。

「さて……金剛さんは提督の息が整うまで一緒にいてあげて下さい! 私は涼風ちゃんも気になりますから、先に会場に戻ります」
「わかったネー。テートクは私が責任を持って面倒みるヨー!」
「ちょっと待て……なぜゼハー……おれの心配はいらん……ゼハー……」
「提督は黙って金剛さんのお世話になって下さいっ!」
「わ、わかった…ゼハー……」

 五月雨はそう言うと、満面の笑みで私と提督の手を取った。そして大切そうに私たちの手をギュッと握った。

「提督、金剛さん。これからもよろしくお願いしますね!!」

 そう言うと五月雨は、私達の手を離し、パーティー会場に駆けていった。途中でこけたりしないかと少々ハラハラしながら五月雨を見守っていたが、それは取り越し苦労だったようだ。

 一方の提督も、だいぶ息切れが治まってきた。

「テートクもだいぶよくなってきたみたいネー」
「ああ…もう大丈夫。心配をかけた。ふぃ〜……ありがとう金剛」

 不意に頭を撫でられた。彼は突然こういうことをするから侮れない。

「うう……そういえばテートク、あんまりお酒臭くないネー?」
「大半はいじられたり鼻にスルメを突っ込まれたりしてただけで、言うほど飲んではないんだ」
「鼻からスルメの足が出ていたテートクはケッサクだったヨーぶふっ」
「アホ。……そうだ」
「ん? どうしたノ?」
「金剛の紅茶が飲みたいな。執務室いかない?」
「おーけい!」

 執務室は私たち姉妹の部屋とパーティー会場の、ちょうど中間ぐらいに位置する。私たちの部屋に比べるとパーティー会場の音がよく届くが、それでもドアを閉じるとそれらもシャットアウトされ、静かな空間になる。私と彼は、その執務室まで戻ってきた。私と彼が、一番長く一緒の時を過ごした空間だ。

 執務室の中は、カーテンの開いた窓から入ってくる月明かりのおかげで、決して明るくはなかったが暗くもなかった。いつものように照明をつけて明るくしてもよかったが、なんとなくそれがもったいない気がして、私はわざと照明をつけず薄暗いままにしておいた。

 彼は執務室に入ると、すぐに椅子に深く腰掛けた。やはりさっき霧島に繰り返し首を絞められたことで、ちょっとくた
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