10.私はあなたが好きです
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ーパーホールドをかけていた。この時私は、心の中で霧島に盛大な拍手を送っていた。
比叡は比叡で、『ああっ……お姉様っ……いけません……司令が見てます……』と寝ぼけながらも恍惚な表情を浮かべ、私の背中に頬ずりしている。提督には霧島をお願いして正解だったようだ。
私達は榛名と霧島の無意識の暴力に苦しめられつつ、3人を私の部屋に寝かしつけた。3人とも実に気持ちよさそうに眠っている。比叡は夢の中でも私と戯れているのだろうか…榛名は提督に求愛しているのかもしれない…霧島は……楽しそうな顔だが若干眉間にシワが寄っているのが気になる…天龍あたりを夢の中でシメていることにした。
「テートクと五月雨のおかげで3人を部屋まで連れて来られまシタ。お二人にはサンキューね」
「いえいえ! 榛名さんも今日の勝利が嬉しかったんですねーきっと!」
五月雨はそういって、笑顔を返してくれた。五月雨は本当に心優しく、素直ないい子だ。彼女が手伝ってくれなければ、榛名を部屋に返すのにはもっと時間がかかってしまったことだろう。確かに何度かつまずいていたが、それを差し引いても、彼女の手助けは助かった。
一方の提督だが、やや腰を落とし、乱れた呼吸を整えようと必死だ。
「ま……任せろ……気にするんじゃあ…ない…ゼハーゼハー……」
無理もない。提督はあれから何度も霧島に首を絞められ、スリーパーホールドを決められ、場合によっては『マイクチェックは?!!!』と提督の頭を掴んで上下左右に激しく揺さぶり、その度に提督に必死になだめられていた。最初の方は私も楽しくて笑っていたが、最後にはさすがに提督に対し申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「うう…テートク…ソーリーね……霧島には明日謝らせるヨー…」
「そんなん気にしなくていいよ…霧島も今日はうれしかったんだ……ゼハー……ゼハー……」
私の部屋はパーティー会場から離れているため、かなり静かだ。パーティー会場は盛大に盛り上がっているため、その歓声はここまで聞こえてくるが、それが逆にこの空間の静けさを際立たせていた。
「ふふっ……」
不意に五月雨が楽しそうに微笑んだ。彼女の笑顔は、その場にいる人すべてを癒やし、温かくする力がある。
「What? どうしたネー?」
「金剛さん、私たち、この鎮守府の最初期のメンバーですよね」
「言われてみれば確かにそうネー」
「確かに…ゼヒッ……そうだ……」
「そんな3人でパーティーをちょっと抜けだしてここにいるのが、なんだか特別な空間にいるみたいで…私、ちょっとうれしいんです」
言われてみると、確かにそんな感じがした。まだ建設されたばかりの、誰もいない鎮守府に赴任してきた提督と、その初期艦として赴任した五月雨、そして彼らの初めての建造でや
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