9.おばあちゃんとサラリーマン。あとケツ。
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
めか、隣のサラリーマンがしきりに霧島の方をチラチラ見ている。
「この霧島の頭脳を持ってしても…予測できない事態よこれはッ…?!」
「……どうしたんすか?」
我慢の限界が来たようだ。ついに隣のサラリーマンが霧島に声をかけた。
「パソコンで調べ物をしたかったんですけど、ここwi-fiがないからネットに繋げられなくて…」
「いや、スマホか携帯は持ってないんですか?」
「お、お恥ずかしながら…」
「マジっすか……ネットにつながればいいんですか?」
「……?! お力になっていただけるんですか?!」
突然自分にさしかかった一条の希望の光がよほどうれしかったのか、霧島はサラリーマンに対して前のめりになった。傍から見ていると、二人の顔がめちゃくちゃ近づいている。
「顔近い顔近い……ちょっと待っててくださいよ?」
サラリーマンはほっぺを少し赤くしながらぷいっと顔を離し、自分のスマホをいじり始めた。霧島は目を輝かせながらそんなサラリーマンを見つめている。スマホの操作を手早くスッスッとこなしたサラリーマンは、スマホの画面を霧島に見せた。
「ほい。スマホはちょっと貸せませんけど、テザリングでつないで下さい」
「?! よろしいんですか?!」
また霧島は前のめりにサラリーマンに顔を近づけている。そして、二人の距離に反比例してサラリーマンの顔もまた赤くなっていく。この二人のやりとりに、鈴谷とおばあちゃんとはまた違った面白さを私は感じ始めていた。
「近い近い近い!!」
「あ、いや、し、失礼しました……」
「ほら、早く繋いじゃってくださいよ……」
サラリーマンに指摘され、やっと自身とサラリーマンの顔が近いことに気がついたのか、霧島も若干顔を赤くしながら、自身のノートパソコンをいじり始めた。今は二人とも不自然に目線を合わせない。
そうやって霧島がしばらくノートパソコンをいじっている間、鈴谷が自身のケツに手を添えた状態で帰ってきた。よほどケツへの攻撃が痛かったのだろう。私には、あるはずのない鈴谷のケツからの煙が見えた。
「金剛さんただいまー!!」
「鈴谷オカエリー!! おばあちゃんと楽しそうにしてたネー!!」
「つーかおばあちゃんマジ力強くて、鈴谷のケツがマジ痛いんですけど…おばあちゃんも明日の花火大会行くんだって!! あ、帰るのかな? バイバーイ!!!」
建物から出て行くおばあちゃんに、鈴谷は満面の笑みで手を振っていた。おばあちゃんも鈴谷に元気よく手を振り返していた。
「鈴谷ちゃーん!! 明日もまた会えるとよかね〜!!」
「うん! でも明日は鈴谷のケツ叩いちゃダメだよー!!! お漬物おいしかったよー!!」
この数分でこんなに仲良くなったのかと私はちょっと関心した。鎮守
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ