第3章 黄昏のノクターン 2022/12
29話 陰に在る者達
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時間を要したかに思えたが、触れてはやるまい。
「さて、これから我々と君達は同盟関係――――いや、一蓮托生だ。故に、ここへ立ち寄る機会も多くなると思う。我々も歓迎しよう。………だが念のため、これを身に付けてもらいたい。見張りが中へ通しやすくなるのでね」
コルネリオが言い終えると、使いに出した側近が奥から持ち出した革張りのアタッシュケースを俺達の前まで運び、開いて見せる。
中には、鷹の意匠を刻まれた銀の指輪が人数分だけ納められていて、手に取るまではアイテムとしてフレーバーテキストも開けない仕様になっているらしい。装備できる装飾品であればプロパティも確認したいところだが、この様子では自分に合った数値のものを選べないのが難点だろうか。
「……………………」
「………あ、すんません」
指輪について確認している間も無言でケースを差し出し続ける側近には、流石に悪い気がしてきたのでそそくさと指輪を抜き取る。それについては殊に咎められることもなく、側近は無言のまま後ろの女性陣の前に立って同じように指輪を取るよう無言の要求を訴え続け、ようやく全員に行き渡る。
右中指に装備した指輪の固有名は《シギル・オブ・オメルタ》とあり、AGIとSTRにそれぞれ1ずつ上昇のボーナスと、スキル熟練度上昇率に僅かな補正を加えるというもの。なかなかに良い性能といえるだろう。
「それは我々からの親愛の証だ。本来であれば格式張った儀式を催すのが掟ではあるが、協力者にそこまで強いるのも酷というものだろう………しかし、頼んだ身ではあるが、我々も目に余る失態を冒された場合にはこの依頼は破談とし、今後は絶縁とさせて頂くことを前以て伝えておこう。難しい事を要求しているようだが………まあ、要は失敗さえしなければ問題はない。深く考え込まないでほしい」
プレッシャーを掛けて気にするなとも無茶な話だが、表現を分かりやすく置き換えて、かつ要約すれば《このクエストは失敗すれば二度と受け直せない》と言われているようなものだ。つまり、プレイヤーやPTに対して、チャンスは一度きりの難関クエスト、むしろ価格変動というイベントがトリガーになっていれば、一定期間内にしか受けられないクエストか、或いは一回限定のクエストであることさえ考え得る。何れにせよ失敗は許されないということか。
………どちらにせよ、これまでの隠しクエストと同じようにクリアさせてもらうのだが。
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