第35話 激闘(中編)
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「このゴミがぁーーー!!」
高杉は一直線にまるで鬼のような形相で原田に向かって走り出した。
土方との戦いに水を差されたための怒りだった。
原田はその怒りの遠吠えに戦意を無くしたかのように呆然と立ち尽くしていた。
「逃げろ!!原田!!」
近藤の声に我を取り戻し、後ろを振り返ることなく逃げ出した。
「待て、こらぁー!!」
高杉の目には原田しか映ってなかった。その時だった。
高杉の背中より心臓に向かって突き立てられた刀身が飛び出ていた。
それは斉藤のものだった。
原田しか見ていない高杉の隙をついての攻撃だった。
斉藤の刀は確実に心臓を捉えていた。普通の人間なら即死だった。
が、その次の瞬間、信じられない光景を斉藤は見ることになる。
「あぁ?なんだ、そりゃ?」
高杉はにやりと笑った。
「そ、そんな、馬鹿な!!心臓を貫いているんだぞ」
斉藤は目を見開いて高杉を見つめた。
「斉藤!!離れろ!!」
再び近藤が叫び、低い姿勢で高杉に向かって行った。
「だからぁー、ゴミは邪魔するなよ」
高杉の裏拳が斉藤のこみ髪を襲った。
ガキンっという鈍い音が響いた。と同時に斉藤は吹っ飛ばされゴロゴロと転がって気絶した。
斉藤もまた衝撃を柔げるために拳と同じ方向に飛んでいなければ頭蓋を割られるだけではすまなかっただろう。かすっただけでもものすごい衝撃。
高杉はにやりと笑い突き立てられた刀を抜いて、それを放り投げた。
「高杉!!」
近藤は吹っ飛ばされた斉藤を見やり高杉へ突っ込んで行った。そして、肩から一気に袈裟に切りつけた。が、高杉は微動だにせず、近藤の攻撃を受けた。
再び鈍い音が響いた。
「あぁ?効かないんだよ。そんな攻撃!!痛くも痒くもない。もっと、真剣にやってくれないかなぁー?」
高杉はため息をつき、近藤を頭上高く持ち上げる思いっきり投げ飛ばした。
「ぐっ!!」
地面に背中から叩きつけられ一瞬息が出来なくなった。
「近藤さん!!」
土方はよろよろと近藤の元へと近づいて行った。
「大丈夫か?」
土方の掛け声に一瞬気絶しそうになっていた意識が蘇った。
「あぁ、だいじないよ、トシ。まったく、化け物が」
近藤の顔が憎しみに歪んだ。
「近藤さん、最早俺一人の力じゃどうにもならん。とはいえ、原田も斉藤も逃がさなければ、奴にやられてしまう」
「そ、そうだな」
近藤もまた怯え初めていた。あんな化け物に勝てるのかと。
自分の渾身の一撃でさえ傷一つ負ってない怪物に。
「近藤さん、しっかりしてくれ!!俺たちがやらないとこれからも犠牲者がでてしまう。あの化け物達を俺たちが倒さないとこの国が世界が」
伏し目がちな近藤の肩を土方は揺さぶった。それは自分自身への励ましでもあった。
(化け物達?)
近藤は土方を見つめた。
(そうだ
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