暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に 2
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は、優しく微笑んでいて。
 「愛してるよ」
 体を重ねる事に、少しの迷いも無くなった。
 お前の全部を俺にくれ。寂しさも苦しみも体も心も過去も今も未来も何もかも。
 その代わり、俺の全部をお前にあげる。
 何一つ残さす余さず、俺の総てはお前の物だ。
 「愛してる」
 ベッドに体を沈めながら再度重ねた唇が、切ない吐息混じりに離れて


 「知ってるよ。私のバカ男」


 パチッと開いた視界に、艶めいた愛しい女の微笑みが映る。
 「とっとと起きて支度しろ。一宿の恩義も果たせないロクデナシを夫に持った覚えはないぞ」
 ……そうか。俺達はアルフとマリアを加えた四人で旅をしてて……これはまた、ずいぶん懐かしい夢を見たもんだ。
 「チッ。どうせなら、最後までヤってから起きたかった」
 「何を言ってんだか知らんが、くだらない内容なのは解った。一応尋ねるが、回し蹴りと踵落とし、どっちが好みだ?」
 「抱擁がお好みです」
 「よし。死ね」
 「はぐっ」
 た、躊躇い無く腹部に拳をめり込むお前も好きだぜ……っ
 「……なぁ」
 お前も起きろ! と、隣のベッドで寝てるアルフを叩き起こすコーネリアの背中に問い掛けてみる。
 「俺を愛してる?」
 振り返ったコーネリアは
 「当たり前だ」
 世界中で一番綺麗な笑顔を咲かせた。


 ああ……此処に居るのは、強く逞しく美しい、俺の半身。
 一人ぼっちの寂しい女の子は、もう何処にも居ない。


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