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逆さの砂時計
Side Story
共に在る為に 2
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いだろ。
 『わかんないぜ。女は、嫌がる時はとことん嫌がるからな。それこそ死に物狂いで村を出て行くかもよ』
 ……此処はあいつの居場所足り得ているのか? あいつは本当に俺を受け入れてくれてるのか?
 怖い。
 もしもそうじゃなかったら、あいつは自分の意思を殺してる事になる。
 そうじゃない。それじゃ駄目なんだ。
 俺はお前の居場所になりたい。お前が心を安らげる家族になりたいんだ。帰って来ない誰かを待たなくても良いようにって……俺は、そういう支えになりたいんだよ。

 「ウェルス?」
 だから、ねぇ。
 嫌なら嫌だと言って。俺を本気で拒んで。
 式を挙げる前にお前を抱こうとする俺を、全力で拒んで。
 「……なんだよ」
 深夜と早朝の間頃。
 母さんと父さんが眠ったのをしっかり確認して、コーネリアの寝室に忍び込んだ。
 コーネリアは眠そうな目蓋を擦って、覆い被さる俺を見上げてる。
 ……全然警戒してないな、こいつ。
 「お前を犯しに来たんだよ」
 あ。さすがに驚いたか。
 でも
 「あー……はいはい。好きにしたら?」
 「……嫌じゃないのか?」
 くわぁあ〜……と気の抜ける欠伸をして上半身を起こし……
 ちょっと待て。何故自分から脱ぐ。
 「あ? お前から来ておいて何を言ってんだ。別に良いんじゃないの? どうせ明後日には名実備えた夫婦になってるんだし」
 そりゃ、どっちみち明日式を挙げた後にはこうなるけども。
 だからこそ、真意を知りたくて、こうして……
 「自暴自棄で言ってるんじゃないよな?」
 「別に。お前なら良い」
 「!」
 俺なら良い? 俺なら相手として不足は無いって意味か?
 それは……少なくとも、俺との結婚を無理して受け入れてるんじゃないんだな?
 「俺に、お前をくれる?」
 「だから好きにしろって言っ」
 寝着を完全に取り払ったコーネリアを強く……強く抱き締めた。
 「苦しい! ちょっと離せバカ!」とか言ってるが、もう遅い。お前は俺を拒まなかった。
 この体はもう、俺の物だ。
 お前は俺を受け入れた。
 お前はもう、一人ぼっちじゃない。
 「……なに、泣きそうな顔してんだよ。夜這い趣味の変態野郎」
 「同意したんだから夜這いじゃないだろ。立派な夫婦の営みってヤツだ」
 「屁理屈」
 「正論だろ」
 鼻先をくっ付けて(しばら)く睨み合い……互いにくすくす笑ってから、唇を重ねた。
 初めて触れたそれは、柔らかくて温かくて、甘い。
 「……愛してる」
 自然と溢れ落ちた言葉に驚いたのは……何でだろうな。俺自身だ。
 呼吸を奪われて苦しそうに頬を赤く染めたコーネリアは、返事こそしないが無言で俺の頭を抱えて、何度も何度も髪を撫でる。
 もう一度正面から覗いた顔
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