第ニ話。消えない伝説
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『______『千の夜話』______今宵はここまでにいたします』
理亜がその言葉を告げたその瞬間、それまで柵にしがみついていた一之江が、ふらっとバランスを崩した。
「一之江??」
俺は正座状態から慌てて立ち上がり、柵の下に飛び込んだ。
「ぐっ」
一之江の体を支えようとしたが、いくら一之江の体は小さいとはいえ、女の子一人分の体重を受け止めきれず、俺は背中に強い衝撃を受けてしまう。
本当は受け止めた瞬間にお姫様抱っこをした方がいいのだろうが、まあ、それはまたの機会にとっておくとしよう。
それより今は……。
「今、夜話の続きを語っていれば、皆さんの中にある『ロア』は消滅していたのです」
目の前に降り立ったこの少女の相手をするのが先だ。
玄関で確認した靴と同じもので、靴下は几帳面に白いソックスを履き。そして、白くてスラッとした細い足を俺の眼前に晒している。このまま、上を見たらいつかの屋上の時のように絶対領域が見えてしまいそうだったので、俺は2秒ほどの葛藤の末視線をその足元に固定した。
そして、理亜が言った言葉の意味を考える。
「ロアが……消滅……?」
「はい、兄さん。ハーフロアであるその方なら、そのまま人間に戻ることも出来るかと」
ハーフロアを人間に……??
その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず顔を上に上げてしまい。
その白い太ももが見えた辺りで、視線を逸らした。
や、ヤバイ。
これは……なっちまう??
「あー! 今、マスターのぱんつ見ようとしたわよこいつ!」
「し、してない。それは誤解だ。俺は何も見てないよ。見えそうだったから慌てて視線を逸らしたからね!」
「兄さん……こんな時に」
あれ? なんか理亜の好感度が一気に下がったような感じがするなー。
押し殺したような低い声で理亜は呟くと一歩俺から離れた。
じりじりと後ろに後退していく。
いや……だから誤解なんだって。
「ハーフロアから、ロアを消滅させて、人間に戻す……?」
そんな俺らを他所に鳴央ちゃんは荒げた息を抑えながら、震える声で尋ねた。
「その通りです。もっとも、純粋なロアであれば先ほどの音央さんのように消滅してしまいますが」
理亜の言葉に戦慄する。
一之江達の方を見ると。
一之江は気絶したままで、音央は消えかけていた体が元に戻ったことに安堵していて、鳴央ちゃんはそんな音央を抱きしめたまま、迷うような顔をしていた。
そして、そんな能力を見せた理亜は、彼女達に恨まれたり嫌われることなどなんとも思っていないかのように、ただ毅然とした姿で立っている。
「後悔は……していないのか?」
「はい。私は______この力を得る
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