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101番目の舶ィ語
第ニ話。消えない伝説
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気づいてやれたのに。
なのに俺は自分のことでいっぱいだった。
不思議な出来事に巻き込まれて、自分だけが苦労しているものだと、思い込んでいた。
こんな近くに、同じように苦しんでいる人がいるのに。

「ごめんな、ほんと……」

あれ? おかしいな、涙が……ちきしょう。目にゴミが入りやがった。

「はふぅ……」

理亜はまるで見かねたかのように、深い溜息を吐くと。

「スナオさん、かなめさん、帰りますよ」

スナオやかなめに声をかけた。

「あれ、いいの?」

スナオちゃんはそれは予想外だ、とばかりに驚いたが。
かなめはさもありなん、という表情をして頷いた。

「ん、合理的な判断だね。
今のお兄ちゃんは冷静な状態じゃないから」

「はい。こんな状態の兄さんが『物語になる』と言ったとしても、それは一時の感情に過ぎませんから」

確かに、今の俺はまともな判断は出来そうにない。
そんな状態で理亜の物語になっても、誰も納得しないだろう。
俺も、俺の物語達も。そして……理亜やかなめも。
理亜もかなめも理性的に俺が判断するのを求めているのだから。

「んー」

スナオちゃんはそんな俺をじっと見つめた後。
理亜やかなめの顔を見て呟いた。

「二人とも……ブラコンだなぁ」

「スナオさんっ」

「わっ、すみません!」

怒ったような理亜の声に謝罪の言葉を口にして、スナオちゃんはチラチラ俺の方を見ながらも理亜の背に着いて行く。立ち去っていく間、理亜は一度も俺の方を振り返らなかった。
かなめは何度かチラチラ俺の方を振り返ったが、声をかけることはなく。
理亜とスナオちゃんの背を追いかけるように立ち去って行った。
そんな風に立ち去って行く少女達を見て、さらに込み上げるものを必死に抑えながら。
俺達は、最強の『主人公』である『終わらない(エンドレス・)千夜一夜(シェラザード)』との______最大の恐怖との対決を、なんとか切り抜けたのだった。










2010年6月19日。七里家寝室。



気を失っていた一之江が目を覚ましたのは、それから少し経ってからだ。

「あ、みずみず、おはよんよん!」

「おはようございますよん」


嬉しそうに挨拶する先輩に合わせて、一之江もそれなりに不思議な挨拶で返す。
自分が寝ていた場所が先輩の部屋のベッドの上だと気づいたのか、いろいろ納得したかのように頷いていた。

「びっくりしちゃったよ。みずみず、みんなでコンビニに出かけた時に貧血で倒れちゃったんだって?」

「あー……どうやらそのようですね。薄幸の美女なもので、朝は低血圧なんです」

「うん、いかにも弱い子っぽいもんねみずみず。よし
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