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101番目の舶ィ語
第ニ話。消えない伝説
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日常。
そんな日常は終わりに出来る。
理亜の物語になれば過ごせる……
高校生としての辺り前の生活______を。
それはとても魅力的な提案だが。
だが……しかし。

「……元の生活じゃ、ないだろ」

そう。そんな日常を選択しても。
家に帰ればそこには。
そこには、理亜やかなめ、リサがいるんだ。

「俺が普通の生活を送っているのに、裏では理亜達が苦しんで戦って、傷ついたりしてるかもしれない。
そんな日常を送るなんて俺は嫌だ!」

いつものように扉越しに会話したとしても、その理亜は戦いで苦しんでいたり、悲しんだり、辛い思いをしているのかもしれない。普通の女の子が味わう必要のない苦しみを、まだ中学生の女の子に味わらせたまま、俺は、俺だけは普通の生活を送るなんて……そんなの。

「兄さん」

「そんなの、絶対に駄目だ。俺が元の生活に戻るのなら、理亜も一緒に戻る!
そうじゃなきゃ、認められない」

「ん……」

理亜の口からは判断に迷うような、小さな吐息が溢れる。
理亜が最強の『主人公』で、それだけの力を持つ、ということはよく解った。
でも、だからこそ。
二人とも『元に戻る』道でなければ、俺は認めることなど出来ない。

「兄さん、それは……」

理亜の顔を見ると、僅かに瞳は揺れていた。

「理亜! 俺はな、理亜がそんな困った顔をするくらい、理亜のことが大事なんだ!
そんな理亜が『主人公』として頑張るっていうなら、俺は全力で助けたいし、手伝いたい。
理亜が抱える苦しみを減らしたいんだ!」

「それは、ですが、甘い認識で______」

「甘くてもいい! 馬鹿でもいい!
俺はな理亜。大切な人を守る為なら例え世界を敵にまわしても構わない」

「……飛躍し過ぎですよ。ですが、本当にそう思いますか?」

「ああ世界なんて知ったことか! 大事なのは世界じゃない!
もし世界と理亜、どちらを選ぶかと言われたら理亜を選ぶ!
そのくらい、理亜。君が大切なんだ!」

「……兄さん」

理亜が心を鬼にしてる理由ならなんとなく解る。
それはきっと……俺の為だ。
本当は、誰かを傷つけたり、誰かを突き放したりするのは苦手な女の子だから。
そんな彼女がそれでもそうしなければいけない理由。
それは俺の心を折る為にやっているんだ。
そんなことをさせてしまったのは、俺だ。
俺が不甲斐ないから。
だから、理亜はクールな『主人公』になることで、俺を守ろうとしているのだ。

「ごめんよ、理亜。ごめん……俺は理亜の兄なのに。
理亜の想いにも、苦しみや辛さにも気づいてやれなくて……ごめん」


ああ、ちきしょう!
過去の自分を殴ってやりたい。
もっと注意深くしてれば、理亜の変化に
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