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世界中で俺が1番恋した色

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だ。

早すぎてどちらの取りかがわからなかった。
払われた札を取りに行ったのは紅乃だった。
左手を挙げ、無造作に払われた札の配置を直す。
そして、送り札を送った。

その後も甲乙付け難い接戦が繰り広げられた。

あっという間に70分以上が過ぎ、残りの札数も紅乃が5枚白羽さんが4枚となっていた。

決まり字への対応を見せた紅乃が1枚を取った。
敵陣の左下段を取ってついに逆転をした。
白羽さんも焦ることなく、自陣を確実にキープした。

このままいくと、運命戦になりかねない。

ここで紅乃が立った。
首を回した時に俺と目が合った。
少し深呼吸をして、札を確認して座った。
紅乃の額から汗が流れ落ちる。
紅乃が少し笑っているように見えた。

「ちはやぶる……」
早い。
ちはやぶるは二字決まりの札だ。それなのに、一字目、いや、音にならない音を聞き取って、紅乃は取った。

それには、会場もどよめいた。
白羽さんも目を丸くして、紅乃の方を見ている。
「札、送ります」
一字決まりを送った。
紅乃が勝負に出た。
白羽さんも真剣な表情に戻った。
白羽さんは右下段に紅乃が送った札を置いた。

紅乃が送った札が読まれた。
紅乃の手が伸びる。
白羽さんも払いにいく。
抜いた。敵陣右下段の一字決まりを確実に抜いた。

紅乃は、2枚あったうちの友札を白羽さんに送り、一字決まりを手元に残した。

読手さんが札を読む。
空札だ。

次の札を読む。
敵陣の札だ。
紅乃が手を伸ばすが、白羽さんの方が少し速かった。
白羽さんの陣地も残り2枚となった。

読手さんが札を読む。
空札だ。
次のの札を読む。
空札だ。
会場に緊張が走った。
読手さんが息を吸い込んで一文字目を読む。
紅乃が自陣の札を払った。
払われた札は俺の方へ飛んできた。
俺はその札を手に取った。
紅乃が札を取りに来る。
立ち上がって、紅乃に札を渡す。
「お疲れ様、紅乃」
「ありがとう、葵花」
滝でも浴びたかのように汗だ。
俺は、ポケットからハンカチを出して紅乃に渡した。
紅乃はそれを受け取ると、戻った。
礼をすると、会場からは拍手と歓声が飛び交った。


少しして、アナウンスが流れた。
「続いて表彰式を執り行います。」

「優勝は、綾瀬紅乃さんです。」
再び拍手喝采だ。
「白羽さんに勝つって、綾瀬さん凄いね。」という声が聞こえた。

表彰式も無事終わり、紅乃が先生と俺のところへやって来た。
「ギリギリだったけど、勝てて良かったです。もっと練習して、近江神宮へ行きたいです!」
「いやぁー、紅乃ちゃんの今日の取りは素晴らしかったよ。この調子だったら近江神宮へも行けるだろう。あっと、僕はさ
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