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世界中で俺が1番恋した色

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んなことないよ。」
碧は本当に優しいなと改めて思わされた。俺と紅乃が休んでる間に2人のプリントをまとめて、それぞれの家に持ってきてくれたのは碧である。

教室に入った。その瞬間にチャイムが鳴ってホームルームが始まった。
1日いきなり早退して、1日欠席したからクラスの人からどんな目で見られるのか心配になったが通常通りで安心した。

蒼空さんの席はある。俺にはやはり存在が確認出来ない。だが先生が出席確認で欠席者がいないと言ったので蒼空さんは出席している。

1時間目はLHRだ。
授業の準備も特に必要ないので、男子と中身のない会話をしていた。
チャイムが鳴って、みんながそれぞれ席についた。日直が号令をし、1時間目が始まった。
「えーっと、今日は席替えをしたいと思います。」
先生のこの言葉を聞いて、男子が騒ぎ始めた。
先生が前から順番にくじを回していった。くじが回ってきた。あまり席は気にしないタイプなので、直感で引いた。次の人にくじを回す。

くじの開封の時間がやってきた。28番、一番後ろだ。所謂あたり席だ。あまり席を気にしないので、特に嬉しいと思わなかった。

席移動が始まった。みんながイェーイとか最悪とか口々に言いながら座った。

俺は、隣の席を見た。

誰もいない!?

クラス全体を見回した。

他に空席はない。

ということは、俺の隣は蒼空さんだ。

俺は衝動的に逃げようとしてしまった。
すると教室の右後ろから声が聞こえてきた。
「葵花、ここで逃げたら、ずっと逃げ続けることになるよ!そんなことはさせない!私が絶対にこの教室か出さない。これは、岬橙との約束でもあるから」
紅乃だった。
彼女の目は少し潤んでいて、真っ直ぐこちらを見ていた。
「ありがとう」
俺は、そう言って自分の席に座った。また紅乃に救われた。岬橙と約束したのに。俺は紅乃に何もしてあげられてない。

その時、蒼空さんの方から強風が吹いてきて、一瞬だけ蒼空さんの姿が見えた気がした。
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