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世界中で俺が1番恋した色

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力さを痛感し、ただ立ち尽くすことしか出来なかった。

手術室から先生が出てくると、彼の母が号泣しているのが見えた。

そこで俺は倒れてしまったらしく、そこからの記憶はない。

俺にはただあの時少しでも、岬橙とボールを蹴っていれば、という後悔しか残らなかった。



次の日、制服にアイロンを隅々までかけ、ネクタイをキュッと絞めて俺は駅に向かう。

駅には既に紅乃がいた。新幹線の切符を買った俺達は、新幹線に乗った。

新幹線の中で俺と彼女はほとんど会話をしなかった。普段であれば、すごい!大きい!と褒め称えるであろう富士山もスルーをした。

二人とも向かい合った席で、両方とも外を見ている。
駅に着いたタイミングで、彼女が先に新幹線から降りた。
岬橙のお墓の場所は彼女が知っているらしい。
彼女に連れられるような感じで彼のお墓に着いた。

彼のお墓に手を合わせ俺達は帰った。

その日の夜紅乃から電話がかかってきた。
「もしもし、葵花」
「こんな時間に何の用だよ」
「岬橙のこと」
「岬橙のことか」
「うん、私ね毎年毎年岬橙のお墓参りに行きたいと思ってたの。でも毎年行けなくて、実は行ったの今年が初めてなの。」
「俺も、サッカー部の練習と重なったりして一度も行けてなかった」
「今日、私、岬橙にこんなに大きくなったんだよって言ったの。葵花もこんなに大きくなったんだよって……」
「紅乃、来年も一緒に行こうな」
と言って電話を切った。紅乃は泣いていた。普段は弱いところを見せない紅乃が泣いている。
その日、俺は岬橙のことや紅乃のことを考えて眠りにつく事が出来なかった。
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