暁 〜小説投稿サイト〜
世界中で俺が1番恋した色

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められていた。

鍵を開けようとしても、手が震えて開かなかった。

その時だった。

「ドッキリ大成功」とみんなが一斉に叫んだ。

俺が困惑して立ち尽くしていると、先生の電話の声が耳に入った。「はい、あおいは今来ました。問題ないです。」俺は少し時間がかかったがすべてを察した。

ちなみにその時俺の席に座っていたのは、1日留学生で、前日のホームルームで先生が言っていた子だった。

結局、その日は碧の後ろの席に臨時で俺の席が作られたのだった。

話を戻すと、黒板に文字が書かれた瞬間に俺は、またドッキリだと直感で思った。

そして、立ち上がって「またドッキリかよ」と言った。

すると、クラスの全員が俺の方を見て、は?という顔をした。だがそれも束の間、みんながまた前を向いて、その転校生の字を見ていた。

どんどん黒板に白いチョークで文字が書かれていく。綺麗な字だ。

黒板には西園寺 蒼空(さいおんじ そら)と書かれていた。

すると、先生が「では、蒼空さん、皆さんに自己紹介をお願いします」と言った。

蒼空さんの声は俺には聞き取れなかった。

隣の子に小声で「あの子、声小さくない?聞こえる?」と聞いたら、ムッとした顔で、「聞こえるよ、何?さっきのことといい、あおいはあの子嫌いなの?」と言われた。

行き場を失った俺は、咄嗟に「先生、少し頭が痛いんで今日はもう帰ります」と言って、教室を逃げるように去った。

なんだこれは。

どうなっているんだ。


何で…見えないんだ。

廊下を走って逃げた。

自転車に乗って、整理がつかない現実と学校から逃げた。

これからどうなるんだろう。

転校生への一抹の期待が膨大な不安となって俺にのしかかってきた。
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