7部分:第七章
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第七章
「けれどな」
「けれど?」
「どうしたんですか先生」
「まずはグラウンドに行かないか」
生徒達の問いに答える前にこんなことを言ってみせたのだった。
「グラウンドにだ。どうだ?」
「グラウンドにですか、今度は」
「今からですか」
「そうだ、今だ」
温かい目に戻ってそのうえでの言葉であった。
「今からだ。どうだ?」
「そうですね、いいですね」
「グラウンドも見てみたくなってきていましたし」
「丁度いいですね」
こう話してだ。そのグラウンドに向かうことになった。新校舎を出てそのうえで花壇のところにある階段を下りてグラウンドの前に出る。そこには巨大なグラウンドが二つ並んでいた。
それぞれのグラウンドの端と端にはラグビーのポールがある。そしてその前は本校舎だ。グラウンドから見て左手にも校舎がありその一階は食堂だった。本校舎とその校舎の間には立派な図書館もある。実に広い学校であることがここでもわかった。
「いや、何度見ても滅茶苦茶広いグラウンドだよな」
「全く」
皆そのグラウンドを見ても話す。
「ここはなあ」
「学校自体広いけれどな」
「特に広いわよね」
「ああ、しかも二つあるからな」
「考えたら凄い学校よね」
「場所があったからな」
先生もしみじみとした口調で話す。
「それでなんだけれどな」
「いや、それでもここはかなり」
「私の中学校なんかとはもう全然」
「海みたいだよな」
「いいグランドだし」
「そうだな。色々なことに使えるいいグラウンドだ」
先生がまた話した。
「ここはな」
「それに校庭だけじゃないしね」
「あの図書館だって」
「中にある本よく読んだなあ」
「テスト前にはあそこで勉強したし」
皆今度は図書館を見た。そこの思い出にも浸るのだった。
「私その時の彼氏とずっと一緒だったし」
「ってあんたの場合は今の旦那さんでもあるでしょ」
「そうよ」
このことはすぐに突っ込まれた。高校の時からの付き合いがそのまま夫婦の絆になったのである。深く長い絆というわけである。
「けれど。本当にね」
「深い付き合いよね」
「図書館で一緒に勉強ってのはいいわよね」
女組はそのことについて話した。
「俺もあそこでな」
「ああ、御前昼はいつもあそこにいたよな」
「放課後も」
「蔵書多いからなんだよ」
そうだと話すのは少し太った者だった。
「幾ら読んでも読み足りない位にあるしな」
「まあ確かに多いよな」
「あそこの本もな」
「新聞もあったしな」
「あっ、そういえば御前」
今度はオールバックの彼に注目する一同だった。
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