日常は突然壊れる
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、俺はもう身構えたりせず、彼女の細い腕に身を任せた。彼女の声は何故か柔らかく、俺を包み込んだ。つまり、安心したから彼女に身を任せたのだ。
「ごめん。もう、大丈夫。」
ミクは俺の身体を静かに解放した。よく考えると抱きしめられていたのか…少し顔が火照る。いやいや、相手はアンドロイドだぞ。多分。
俺が自問自答を繰り返していると、ミクが興味津々な様子でこちらを覗いてきた。うん、可愛い。
「マスター…名前を伺ってもよろしいですか?」
「名前…そうだな。」
「俺の名前は《那覇 大輝》。高校1年生。」
「那覇 大輝ですね。出来れば覚えておきます。」
いや、ちゃんと覚えてくれよ。
とにかく、俺は近くにあった彼女の説明書を見た。そこには恐怖のマッドサイエンティスト・両親からのメッセージが付いていた。
…貴方がこの手紙を読んでいると言うことは私達はもう
貴方の側にいないのでしょう。親らしいことをしてやれ
くて本当にすまなかった…
なんか両親普通にいい奴だった。これじゃあノーマルサイエンティストだな。
…貴方に私達10年の研究の成果を託します。この《初音ミク》は貴方の助けになるように作った最高のアンドロイドです。…
まさかの自画自賛。
…彼女はアンドロイドとは言いますが人間に限りなく近い存在です。私達の研究の成果のすえ、心も持っていますし、食事もとります。
成果を強調するなよ。
…ただ、彼女はまだまだ不完全です。私達に変わって彼女を完全なアンドロイドにして下さい。お願いします。…
…??不完全なアンドロイド??しかも、そいつを完全させる?専門的な知識も無しにどーやって…
とにかく、手紙はこれだけで終わりか。あとは説明書に目を通してっと…
「ネギスラッシュ??《アイス》」バコン??
「ぎゃあぁぁぁぁ??何すんだてめぇ??」
「だって…」
「マスターが私の自己紹介聞いてくれないんですもの。」
「自己紹介…?」
「本当に聞いてなかったんですね…」
「ごめん。」
こりゃ俺が悪い。
「じゃあもう一度。」
「私の名前は初音ミク。歌う為に生まれたボーカロイドです。」
「知ってる。」
「なんて冷たいんですか??」
「いや、だって…」
面倒くさいから。その言葉は呑み込んだ。彼女が涙目でこちらを見つめているからだ。アンドロイドなのに涙を流せるとはうちの両親もいい仕事するな。
「わかったから。ごめんって。」
「それより、買い物に行かないか?歓迎会をしたいんだ。」
「歓迎会ですか??」
「そんな…アンドロイドなのに歓迎会なんて…」
「じゃあ、食料が足りないから夜ご飯抜きだな。」
「…行きます。」
何こいつ可愛い。じゃなくて。こうして俺たち
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