日常は突然壊れる
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冬休みに入った頃、俺は少し遅いクリスマスプレゼントを両親から貰った。といっても、両親は俺が小さい頃に事故で死んでしまった為、父親の妹夫婦から渡された訳だが。この妹夫婦はえらく俺のことを嫌っている為今までクリスマスプレゼントは愚か誕生日プレゼントさえくれなかった。そんなわけで人生で初めてのクリスマスプレゼントだった。ついでに妹夫婦の家からも1000万をポンと渡されて追い出されたので、この冬休みから1人で隣町で過ごすことになる。
あらかた荷物も運び終えたところで、俺はいよいよクリスマスプレゼントの開封をすることにした。手がガタガタ震えている。なんせこんなことは初めてなので俺に妙な緊張感がはしる。唯のちょう結びを解くだけでこんなに緊張するのか…と我ながら今の自分を可笑しく思う。というかプレゼントの大きさが俺の身長と変わらないぐらい大きいのだが…気にしたら負けか。
30分ほどかけて俺はクリスマスプレゼントの開封を終えた。が…
「おいおい…俺にこんな趣味はねぇぞ…」
出てきたのは今や伝説になっている電子の歌姫《初音ミク》の等身大人形だった。初音ミクは確か俺が生まれた頃に誕生し、それから今でも世界中で絶大な人気を誇るボーカロイドだ。《ちなみにボーカロイドとは歌を歌わせる為のソフトのことだ。》
驚愕のプレゼントにまたも妙な緊張感をはしらせながら触れてみる。
「…柔らかい。」
まるで本物の女性の肌ような柔らかい材質で出来ている。いや、触ったことないけど。
《男は狼》とはよく言ったもの。最初は緊張したが、いざ一度触れてみるとその後は、俺は変な衝動に駆られて《初音ミク》の身体中を触りまくった。何故なのかはわからない。単なる性欲なのか…それとも、誰も居ない家に突然住まわされたことによる寂しさを紛らわす為か。どちらにせよ、変態だな。俺はしばらくの間《初音ミク》を堪能した。その時、俺の身体の一部が《初音ミク》の秘部に触れた。
「…ふぁぁ…よく寝た。」
突然、《初音ミク》が起き上がり喋り始めた。本当に突然のことだったので俺は《初音ミク》から素早く距離をとり、若干身構えた。多分、俺は怖かったのだと思う。
俺の中にぼんやりと残っている両親についての記憶には実は恐怖を感じたことしかなかった。俺の中の両親と言えば、2人揃って《研究室》に篭って何かを実験しているイメージしかなかった。その研究も料理みたいな可愛い物なら良かったが、違った。俺の中のイメージだと確か…
ここから先は必ずと言っていいほど詰まる。いつもならここで意識を失い倒れるのだが、今回は違った。何か柔らかい物に包まれた。そう、まるで《女性の肌のような柔らかい材質》に。
「大丈夫ですかマスター?」
俺の知っている《初音ミク》の美しい声が聞こえた。正直怖かった。だけど
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