第3章 リーザス陥落
第77話 ホッホ峡の決戦Y
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嬢さん、ですね」
玲瓏な響きを含んだ声と共に、この戦場で、間違いなく最悪の相手が、現れたのだ。
「魔人、っ……!」
「はい。魔人アイゼルです。……こんばんは、お嬢さん」
ただ、対面するだけで、異様なまでに威圧感がある。
あのハイパービルでは、他の事に気を取られすぎていた為、気付かなかったが、魔人と言う存在であれば、誰しもが同じである。事がこの時判った。
そう、こんな相手に ユーリは億さずに、対面していたのか? と志津香は改めて感じたのだ。
その上、相手は恐らくなんの意図も篭っていない。瞳なのに、直視続けることに本能的な警戒心が働いた。
「……急いでるの。そこ、通して」
「ふふ。あの魔法を切り裂くとは、本当に恐れ入りました。……が、貴女の顔色を見る限り、それ相応の代償を伴う様ですね。……でしょう。あの魔法をリスクなしで、防ぐなど、沽券に関わりかねない事態ですよ」
アイゼルは、僅かながらに笑みを見せていた。
未知数の相手だと言う事は判る。あの時に出会って、話をしたその時から。……だからこそ、負傷の一つでもして貰えれば、高都合なのだ。あの男の正体を探る為にも。
「そして、貴女は、私の使徒たちに、御用があるのですね? で あれば 出会った以上、戦わざるを得ません」
「(まずい……、ここで、魔人とやり合うのは……、ゆぅも、対面したら……引けって……)」
志津香がそこまで考えた所で、脳内でその考えを否定した。
何故なら、ユーリは逃げ出すか? 引くだろうか??
確かに、仲間を助ける為なら、引くかも知れない、そう言う事もあるかも知れない。だが、最後まで思考錯誤し、突破口を探し続ける筈だ。どんな絶望的な場面でも。
ラギシスの時は、最後の最後で、あの指輪を見つけた。
カスタムの時は、襲ってくる洗脳兵の事をも考えて、無力化する事を考えた。
レッドの時は、チューリップ3号に対する奇襲を見抜いた。
今、自分の脚で逃げた所で、そう安々と逃がしてくれるとは思えないし、何よりもただ、何もせずに逃げるのは有り得ない。
「志津香殿!!」
「敵将か!! うおおおおお!!!」
「ヘルマンどもを追い出せぇぇ!!!」
考えを張り巡らせていた時、比較的に傍にいた 解放軍の一部隊が、志津香と、そしてアイゼルを見つけ、アイゼルに襲いかかったのだ。
だが。
「………醜い」
アイゼルは、侮蔑する目を向けた。ただ、それだけだった。それだけで……兵達の目は虚ろになった。……逆に、アイゼルの瞳は妖しく輝きを増した。
襲いかかってきた兵士達、全てに洗脳をかけたのだ。
「自害なさい」
「待ッ………!!」
アイゼル
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