第3章 リーザス陥落
第77話 ホッホ峡の決戦Y
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―――……何度も何度も無理をさせた。
カスタムの町でもそう。そして、これまでの戦争でもそうだ。休むと言う事を知らない。頼ってくれる、頼りにしてくれている事は確かにあった。だがそれでも、借りの方が大きすぎる。
――あの魔法を防ぐのだって、絶対に無事じゃ済まない。
ユーリの手を確かに見た。血が出ているのも見た。……疲労している顔も見た。
「アンタの隣に立ってるんだから、これくらいは、させなさいよ……! ちっ、炎の矢!!」
「な、ぐあああっ!!」
走る速度を殆ど落とさず、じゃまになりそうな敵兵だけを、魔法でし止め、一直線にあの光線の発射源へと駆けた。
「体力も……、付けないといけない、って事よね。 あのバカの隣で、戦う為には。……ずっと、傍に。傍についていく為にはっ!」
両手に炎を宿し、それを1つに合わせた、特大の炎の魔法を放つ。
「ファイヤー・レーザー!!」
直線上に焼き払う魔法は、ヘルマン兵たちを貫通し、燃やした。
「ぎゃあああっっ!!」
「ぐあああああ!!」
「な、ま、魔法使いの、一騎駆け、だと……がぁぁぁぁぁ!!!!」
炎は次第に勢いが衰え、そして消え去る。
もう、直線の位置には、移動を妨げる者は誰ひとりとしていなかった。
だから、全力で駆けぬけるだけだ。
「(紅色破壊光線、藍色破壊光線、黄色破壊光線。……全部、文献で見ただけだけど、どれも致死性がかなり高い凶悪魔法。その全てを1人で操るなんて、出来る筈がない。……つまり、1色につき、1人。3人は、いる)」
1対1でも危険な相手だ。
ユーリは敢て、得意分野である接近戦で 打ち負かした。(厳密には、相手が墓穴を掘った事が一番起因しているのだが……、それは置いておく)
だが、自分の得意分野は相手の得意分野、同じ土俵でもある。……決して、勝算が高いとは思えない。
「だからって、やるしかない! アイツ1人に、……あの魔法を、黒色破壊光線なんて魔法を、受け続けさせる訳にはいかないっっ!!」
志津香が単独行動を取る切欠は、ユーリの負傷、と言うよりは、あの魔法にあった。
あの時、アイツのあの魔法を受けたから、ユーリは倒れた。……アイツの魔法を受けたから、ユーリは傷ついたんだ。大切な人を傷つけた魔法だから。
だから、志津香は 渾身の魔力を込めた。
己の最強魔法である、白色破壊光線を打ち込む為に。……注意を反らせる為に。
その時だ。……悪夢がやってきたのは。
「――――おや?」
手に集中させた白色の魔力を撃ち放つ前に、あの男が現れたのだ。
「貴女は確か………レッドの時の、魔法使いのお
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