第3章 リーザス陥落
第77話 ホッホ峡の決戦Y
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たか? マリア」
右手をかばいつつ、マリア達の元へと合流した。
それなりに、ヘルマンの兵士達の倒れている姿が見えるし、拘束をしている者もいたが、こちら側、解放軍の方には目立った被害は無さそうだった。
「っ……、ゆ、ユーリさんっ」
「……どうした? マリア、なにかあったのか?」
「そ、その……志津香が……っ!」
マリアの口から出た言葉を訊いて、ユーリは、自分自身の脇の甘さを痛感せざるを得なかった事に気づくのだった。
――それは、ユーリが懸命に、魔法攻撃を防いでいた時の事だ。
『マリアっ!!』
志津香は、ユーリと話をした後に、マリアの方へと駆け寄っていた。
『あいつらは、あっちの丘、あの上から撃ってきてる。今は、今なら ユーリが抑えてくれているから、奇襲がし易い! この場所、マリアとカスミに任せるから!』
『なっ、し、志津香っ!!』
駆け出そうとする親友に、マリアは慌てて制止の声をあげる。たった1人で、向かおうというのだから。周りに護衛をつけられる様な兵士はいない。そんな余裕はないのだ。
『駄目。……もう 絶対に、駄目。また、また ゆぅに……、ユーリに全部背負わせる気? そんなの、私が許せない。……私自身の事も、許せない!』
強い決意の目だった。
それは、カスタムを守ろうとした時の目よりも、もっともっと強い目だった。
『ま、待ってって! 1人じゃ……』
『マリアは、ここを任せたわ。……アイツは、私を信頼して、『この場を任せる』と言った。なら、私は信頼出来るマリアに、ここを頼みたいの。……ここで、戦車や皆を守って。……お願い』
志津香の目は、強さだけじゃない。なにかを、心配している目もその奥にはあったのだ。
その目を見て、マリアはもう何も言えなかった。……間違いなくユーリの事だとは判ったけれど、何も言えなかった。
ユーリに頼りすぎている面は、マリア自身も痛感しているのだから。幾ら仲間、だから当たり前だと、ユーリが自身が言っても、返しても返しきれない程に、借りが溜まっている。もう借金地獄だと思える程に。
『っ……、志津香、気をつけてよ! ユーリさんが、何があったら一番悲しむのか、辛いのか、知らない筈ないでしょ!?』
『……当たり前よ』
志津香は、それだけを返して 背中に声をかけながら、マリアは志津香を見送ったのだ。
――全てを聞いたユーリ。
そう、志津香の性格は判っているつもりだった。……似た者同士だと言う事。
家族を失う悲しみを、誰よりも知っている。……自分達は誰よりも知っている筈だから。だからこそ、志津香がこういう行
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