Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 20. The Advance of Black Cat (3)
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夜の狩りに出てきたことへの謝罪。
駆けつけてくれたことへの感謝。
なぜここだとわかったのかという疑問。
しかし、そのどれかを口にしようとする前に、
「なんだてめえ、いきなり出て来てお頭の腕斬って、挙句に果てに蹴り飛ばすだあ?」
「ナメくさってるにも程があんだろォがゴルァ!!」
「面倒くせえ、コイツもぶっ殺しちまえ!!」
頭領の飛来に巻き込まれなかった側の部下たちが、一斉に斬りかかってきた。僕も援護しようと、何とか立ち上がろうとしたが、身体が動かない。手に持った棍を杖代わりにして何とか上体を起こした直後、
一人目の賊が顔面を蹴られ、地に付したその頭を踏みつけられた。
二人目の賊は槍を突く前に、片脚を腿から斬り落とされてそのまま転倒。
三人目の賊の振った短剣は、素手で受け止められて握る腕ごと切断された。
さらに続いてきた集団の前で、一護さんは足元の一人目の賊を蹴り上げて空中で両足の膝から下を断ち、残骸を脇へと放る。そのまま刀をゆっくりと水平に構えると、神速の踏み込みと共に一閃、したように見えた。あまりの速さに太刀筋が見えなかったが、間合いに踏み込んだ賊たちが一斉に吹き飛んでいくのだけが、僕の目に映っていた。
性懲りもなく起き上がって再突撃を仕掛けてくる賊たちに背を向け、一護さんは刀を緩やかに納刀していく。先頭を走るメイス使いがあと一歩で間合いに入ろうか、という直前に納刀を完了。直後、賊たちのHPが一瞬で削り取られ、全員がその場にダウンしてしまった。ほとんどの者のHPはレッドゾーンまで達しており、とても継戦可能とは言えないような有様だった。
そんな連中を全て無視し、一護さんは僕の方に近づいてくると、懐から取り出したポーションの瓶を手渡してくれた。掠れた声でお礼を言って受け取ると、彼は小さなため息を吐いた。
「サチといいオメーらといい、なんで日暮れになるといきなりふらっといなくなるんだよ。アレか、『月夜の黒猫団』ってのは、そーゆー意味で名付けたのか?」
「い、いや、そんなことは……」
「キッサマアアァァァァァァアッッ!!」
突然響き渡る絶叫。何事かとそちらを見ると、部下たちに埋もれるようにして倒れていたマルカスが、斬られた腕を抑えながら修羅の形相を浮かべて激昂していた。
「よくも、よくも腕を斬り落としやがったなああああぁぁっ!! おいお前ら、ソイツをぶっ殺せ!! 容赦なんかするな、徹底的に斬って! 殴って! ぶっ刺して!! 奴のポリゴンのひとっ欠片も残んねえぐれえに、粉々に殺し尽くせやあぁぁぁっ!!」
闇の中でもはっきり分かるほどに、顔を憤怒の朱に染めて吼えるマルカス。しかし、その怒号に乗っかって動き出す者は、誰一人としていなかった。全員武器は構えてはいるものの
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