Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 20. The Advance of Black Cat (3)
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る。
「言った、だろ……! 僕らをナメるなって……狩るのは、僕らの側だ!」
「成る程。確かに、そう言えるだけの技量はあるようだ。力量を見誤っていたことを、ここに謝罪しよう」
「いや、まだだ……まだ、お前は僕を見誤ってる。そうやって、悠長にしていられるのも、今のうち、なんだよっ!!」
声と共に僕は右手を棍から放した。頭上で止まっていた曲刀をそのまま右へと受け流し、左わきへと潜り込む。同時に、
「くたばれ、ミスマッチ!!」
単発重攻撃《アイアンブロウ》を発動。鈍色に輝くオーラを纏い、棍の一閃が脇腹へと命中――
「甘いよ」
する直前、高速で引き戻された曲刀によってガードされ、棍の先端が大きく弾かれる。何とか制御を取り戻そうと力を籠めた僕だったが、
「で、遅いよ、と」
その前に曲刀の追撃が命中。右肩から先が斬り飛ばされた。一瞬飛んでいく自分の腕を目で追いそうになったが、
『敵から目を逸らすんじゃねえよ!!』
脳裏に一護さんの言葉が響いた。それに突き動かされ、残った左手で根を掴むと、
「ぅおおおあああああっ!!」
全力の薙ぎ払いを繰り出し、トドメと言わんばかりに振り下ろされた一撃を辛くも凌いだ。振り切った棍の慣性を利用して大きく後ろに飛んで着地、しようとしたが、膝から力が抜けて、その場に崩れ落ちてしまった。棍を手放しはしなかったが、もう立つ力は欠片も残っていなかった。
「はぁっ、はぁっ、よおリーダー……そっちも、グロッキー?」
背後から荒い息混じりの声が聞こえた。振り向くと、そこには満身創痍といった様子のダッカーが僕と同じように膝を付いていた。その奥にはササマルが尻もちを付き、さらにその奥ではテツオが倒れ伏していた。
「くっ、ははっ。まあ、ね。流石に、キッツイかな……げほ、げほっ!」
強がりの笑みを浮かべて、咳混じりにそう切りかえす。ふと視界の端に目をやると、全員のHPがレッドゾーンまで削られいた。あと数度攻撃を食らえば死ぬような状況であるというのに、何故か怖くは無かった。
この十分間、自分は今まで生きてきた中で一番濃い時間を過ごしたように思う。
攻撃を一度受ければ死が一歩近づき、防げば寿命が一瞬だけ延びる。その刹那を何十回と繰り返し、自分が自分ではなくなるような感覚すら覚える程に、僕は、僕らは戦いに全てを賭していた。なんて分の悪い賭けにベットしたもんだと我ながら呆れるけど、何を言い、何を思ったところで、今更遅い。命を博打の掛け金にして負けた以上、ここで死ぬことは仕方がないんだ。
たられば言ったらキリがなさそうだけど、せめて、一護さんとリーナさんに、十日間だけの僕らの師匠に、お礼の一つくらい言いたかった。サチにもちゃんと強くなったところを
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