暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 20. The Advance of Black Cat (3)
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<Keita>

「せぃやあああああっ!!」

 気合と共に棍を一閃、斬りかかってきた賊の短剣を弾き飛ばして、カウンターの刺突を叩き込む。止まらずに手首を軸にして棍を旋回、横から迫っていた槍持ちをけん制しながら、僕は荒い息を強引に整えた。
 戦闘開始からまだ十分と経っていないはずだったが、既に疲労が全身に圧し掛かってきている。棍を握る手に、上手く力が入らない。一護さんとの組手で一時間は持つようになったと思ってたんだけど、実戦じゃそうはいかないみたいだ。

「オラあっ、死ねやクソガキィ!」
「ッ!?」

 ご丁寧に叫び声と共に打ちかかってきた斧使いの一撃を棍の右端で受けて逸らし、左端を胸に叩き込んだ。さらにそのまま右、左、右、左、と連続して打撃を飛ばし、四方八方から滅多打ちにする。何割かは防がれたりするけど、そこは手数と速度で補う。
 リーナさんに教わったこの技は、元々順手と逆手の切り替えの練習用のものだった。しかし、単調ながらも堅実に連続技が繰り出せる長所は殺すには惜しい。初見の相手にならそうそう見切られないだろうし、気にせず連発して顔、肩、腹と棍の石突を叩き込んでいく。

「このっ、調子に乗ってんじゃ、ねえっ!!」

 上段の構えで迫ってきた大剣使いが、僕を両断するような勢いで斬りおろしを放つ。その威圧感は確かに凄いけど、一護さんのそれに比べたら全然遅い。慌てずに見切って躱してから、

「剣と逆側から、襲うっ!!」
「ガフッ!?」

 左手側に潜り込んで棍をフルスイング。こめかみを思いっきりぶっ叩いた。思わずたたらを踏む両手剣使いに追加の一撃を打ちこんでから飛び退き、迫る賊との間合いを確保する。

 すでに何発か食らってしまっているせいで、僕のHPはイエローに突入していて、もうすぐレッドゾーンにまで達しようとしている。視界の左上に表示されている他のみんなのHPも、似たり寄ったりといったところだ。いつもなら戦々恐々としているところだけど、吹っ切れた今じゃ関係ない。棍を構えて駆け回り、迫りくる敵の攻撃を次々に躱し、受け止め、隙を見ては強打を叩き込む。焼き切れそうな神経を酷使しながら、立て続けに死線をかいくぐっていく。

「……やれやれ、ちょっとやんちゃしすぎ、だよ」
「グッ!?」

 軽い口調と共に振り下ろされた白刃を視界の隅で捉え、僕は咄嗟に棍を両手で持って頭上にかざし、中央部分で斬撃を受け止めた。さっきまでの賊とは一線を画す衝撃が手首を痺れさせ、手を放しそうになるのを必死でこらえた。

 斬りかかってきたのは、連中の頭領であるマルカスだった。困ったような表情は未だに穏やかと言えるものだったが、打ちこみはそれは正反対の強烈さだった。歯を食いしばって曲刀を押しとどめながら、僕は無理やり笑みを浮かべて見せ
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