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Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 19. The Advance of Black Cat (2)
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の賛同を返しながら、なんとか笑顔らしいものを作っていた。
 ここまでは計画通りだ。後はこのままひたすらに低姿勢で相手に共感し続け、金品をそっくり差し出せば、それで終了だ。この男の独特の美意識には、きっと常人は賛同なんてしないだろう。今まで連中の獲物になってきた人たちは、きっとそうだったはずだ。だから、あえてここでそれをひたすらに褒め称え、賛成すれば、相手に好印象を与え、こちらの命の危険を減らすことができるはずだ。この場さえ乗り切れば、後はどうにでもなる。最悪モンスターをトレインすることになろうとも、頑張って逃げればきっと生きて帰れる。

 そう自分に言い聞かせてへし折れそうな心を叱咤し、あらゆる感情をねじ伏せて次の一手を打とうと口を開こうとしたとき、

「でもねケイタ君。ボクはこうも思うんだ」

 マルカスは、ふと悲しげな表情を見せた。顔面に張り付いていた笑みが一瞬で悲痛のな面持ちへと切り替わる様は、まるで人形のパーツを取り換えるかのように機械的なもの見えた。そのままマルカスは僕に背を向けて元の位置まで下がり、くるりと振り向く。

「狩る側だけではなく、狩られる側も、立派な自然の一部だ。そうだろう? だって、皆生きているのだからね。立場が違えど、結局は同じ一つ生命の一つだ。
 ならば、ボクら狩る側に礼儀というものが存在するように、キミら狩られる側にも、礼儀が必要なんじゃないかって、ボクは最近思うようになったんだよね」
「……と、言いますと」

 嫌な汗が背筋を伝う。自分の思い描いた道筋が、端の方からひび割れていくのが分かる。からからに乾いた口でどうにか問を返せたのは、奇跡に近かったように思う。

「うん、つまりだね……弱肉強食の美学に従うなら、狩る側はきっちり獲物を殺し、獲物は美しくその運命を受け入れて殺され自身の全てを捧げるべき。ボクはそう思うんだよ」

 目を細め、いたわるような口調のマルカスから、明確な死刑宣告が下った。

 瞬間、息が止まった。

 瞬きも、肺の動きも、心臓の鼓動さえ。ほんの一瞬だけ、僕の全てが死んだのが分かった。
 直後、その全てが一気に再起動し、怒涛の如くに僕へと押し寄せてきた。目を開けていることすらつらく、呼吸は乱れ、心臓は破裂しそうなくらいの早鐘を打つ。どうしようもない生への執着心が、僕の身体を襲っていた。

 だが、それ以上に僕の中で湧きあがる、ある感情(もの)があった。

 それはきっと、パニック故のものだったのかもしれない。
 心のどこかで、もう生還を諦めたが故の蛮勇だったのかもしれない。
 他人はそれを、自暴自棄と呼ぶのかもしれない。

 けど、

「…………るな」

 だけど、それでいいんだと僕は思った。

 策は成る前に敗れた。
 退路は無
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