暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 19. The Advance of Black Cat (2)
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。どっちもすごく強くて、見た目も良くてさ。息も合ってるっつーか、ベストパートナーって感じがする」
「あ、おれもそう思う。この前なんて、名前で呼び合うだけで意思疎通できちゃってる感じだったし。凄いよな、あれ、何ていうんだっけ。ツーカーの仲?」
「うぐぐ……ササマルのオヤジ臭い死語はともかく、既にそこまで発展していたとは……こうなったら仕方ねえ。オレが一護さんに決闘を申し込んで……」
「この前一護さんにデュエルで瞬殺されたのはどこの誰だよ! そして全員さっさと前を向け! 圏外では非戦闘時でも常に警戒するようにって、ディアベルさんに教わっただろ!!」

 緊張感皆無の雑談を延々と繰り広げる三人を一喝して前に向き直らせる。ダッカーだけはまだブツブツと言っているが、一護さんにつき出してシバいてもらうぞ、と脅すと一発で黙った。流石に初撃決着デュエルで右手足を一撃で斬り落とされた恐怖は消えていないみたいだ。
 ようやく静かになった三人と共に夜道を歩きながら、索敵警戒の傍らで僕はこのダンジョンにあるという『ツキミシクラメンの蜜』をこんな日没後に取りに行くことになった理由を思い出していた。

 今日の夕方、ディアベルさんから、最前線の迷宮区への道がようやく開けそうなこと、そして明日で一護さんたちの引率が終了になることを聞いた。戦線から退いて以降は料理スキルを上げているサチは「お別れパーティーに出す料理を考えなくちゃ」と張り切っていたが、僕らの方は何もできることがなかった。
 しかし、この十日間僕らを護り鍛えてくれた二人に、何もしないで別れるなんてことはできない。何かお礼ができないか。四人で話し合った結果、ダッカーの強い主張によって夜にしか咲かない貴重な花『ツキミシクラメン』の激甘の蜜を採ってきてプレゼントしよう! ということになってしまった。完全にリーナさんピンポイントな気がするけど、一護さんも意外と甘い物が好きだから、という取ってつけたような理由も一応あるにはある。

 それに、と僕は脳裏に一護さんの傍にいた時のサチの柔らかい眼差しを思い出す。
 詳細は訊いていないけど、サチが本心を僕らに告げるきっかけを作ってくれたのは間違いなく一護さんだ。そして、人と近づくことを恐れていたサチが、ほんの少しとはいえ自分から他人との、一護さんとの距離を詰めようとするようになったのも、多分彼のおかげだと思う。
 もしかすると、それは淡い恋の始まりってヤツなのかもしれないし、親愛の情の表れなのかもしれない。でもそのいずれであったとしても、幼い頃から仲の良かった僕にとって妹のような存在だったサチの心を溶かしてくれたことに、僕はとても感謝をしていた。自惚れが過ぎるかもしれないけど、そのことに対して「兄としての恩返し」がしたいと僕は思っていた。今回取りに行く花の蜜のことはさ
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