Chapter 3. 『世界を変えた人』
Episode 19. The Advance of Black Cat (2)
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ルがテツオよりも三つばかり低くても、後方でウダウダしていてはダメなんだ。自分を叱咤し、神経を更に尖らせていく。
しかし、そんな僕の目の前で、残りの三人は遠足気分で雑談タイムに入っていった。
「しかしなあ、ダッカー。本当にこの先なのか? リーナさんの好物だっていう、ええと……」
「『ツキミシクラメンの蜜』だ。ああ! もっちろんこの先だぜ! 四日前にさりげなくリーナさんから聞き出して、発生場所もちゃーんと下調べしたからな!」
「お前、本当にリーナさん好きだよなあ」
テツオがそう言って苦笑すると、ダッカーは「あったぼうよ!」と威勢よく言葉を返した。
このお調子者があの白皙の美貌を持つ女性に首ったけなのは、引率を引き受けてもらった次の日にはもう全員に知れ渡っていた。なにせ、初日が終わるなり「決めたぜ……オレは、あの人を嫁にするっ!!」と夕食の席で豪語したんだ。どう考えても脈なしなのに、よくもまあ一週間以上も頑張れるよな、と少し感心してしまう。
僕の無言の感想を余所に、ノリの軽い短剣使いの言葉は留まるところを知らない。
「だってよお、あのアイドルにも劣らないハーフっぽい綺麗な顔に、すらっとした美しい脚のライン! サイコーだろ!! オマケに意外と着やせするタイプみたいで、けっこう御立派なおムネをお持ちのようだし……ぐへへ」
「おいちょっと待て。あの人いつもケープ姿だろ。なんでそんなことまで分かるんだよ」
「へっへっへ。それはもちろん、オレ様が『純白の闘匠様ファンクラブ』の会員だからさ!!」
思わずツッコミを入れてしまった僕に向かって、怪しげなファンクラブを名乗ったダッカーは一枚の画像を見せてきた。
記録結晶で撮ったと思しきその画像には、紙袋いっぱいのワッフルを小脇に抱えて歩く、ニット姿のリーナさんが映っていた。どうみても隠し撮りと思われるアングルなのはさておき、身体のラインを覆うようなケープとは異なる、フィットするタイプの白ニットによって浮かび上がるボディラインは、確かに、その、出るところは出ていて、起伏に富んでいた。
思わずちょっと見入りそうになったが、精神力を総動員して視線を外す。警戒警戒、集中集中、右良し、左良し、後方敵影なし、と呪文のように心の中で唱えてどうにか気を静めた。
「でもさ、リーナさんって絶対に一護さんとデキてるだろ。おれたまたま聞いたんだけど、あの二人、いつも同じ部屋に泊まってるみたいだぞ。よっぽど深い関係じゃないと、同棲なんてできないよ」
「な、なぬぅーっ!?」
ササマルのもたらした情報に、ダッカーのニット帽の下の目が驚愕と絶望の色に染まる。いや普段の距離の近さからして、そんなに驚くようなことでもないと思うんだけど。
「実際お似合いだもんなあ、あの二人
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