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懐かしい校舎
6部分:第六章
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第六章

「おいおい、ここもな」
「全然変わらないな」
「びっくりする位にな」
 男組がその門を見て言う。道場の中には畳が見える。その畳がそこが柔道場であることを教えていた。茶色の木の壁も見える。
「先生はいないか」
「部活の練習時間じゃなかったかな」
「みたいだな」
 こう話してそのうえで道場の中を見る。その中を見ても言う。
「ここで授業やったよな」
「だよな。夏は暑くて汗だくになってな」
「冬なんかもう埃が気になってな」
「結構辛かったよな」
 こんな話にもなる。
「ここで三年やったな」
「そうそう、他にも大学の構内にも柔道場があるからな」
「そこも使ってな」
「柔道場二つあるからな、うちの学校」
 今度はこのことが話された。
「それも有り難いよな」
「有り難いっていうかそんな学校滅多にないよな」
「いや、普通は一つあったら立派だろ」
「そうか」
 そんな話をしながら見ていた。そして暫く見ていると先生が言ってきた。
「先生もここで授業受けたな」
「ああ、そういえば先生もうちの学校出身でしたっけ」
「そうでしたね」
「ああ、そうだよ」
 語るその言葉も目も温かいものにないものになっていた。そのうえでの言葉だった。それを話しながらだ。その柔道場の中を見ていた。
「先生がここの生徒だった時からこの柔道場はあったんだよな」
「そう思うと古いですね」
「三十年ですか?」
「それ位かな。やっぱり古いよな」
 そしてこうも言うのだった。
「ただ。さっきの新校舎はな」
「その時はなかったんdねすか?」
「そうだったんですか?」
「入学の時にできたんだよ」
 そうだったと話すのだった。
「その時はぴかぴかだったんだけれどな。今じゃな」
「まあ使っていたら古くなりますからね」
「けれど本校舎なんて」
 彼等が最初にいた瓦の校舎である。そこのことだ。
「もう百年は経ってるんじゃ」
「戦争前からあるんですよね、確か」
「あそこは」
「そうかな。それ位になるかな」
 先生は腕を組み考える顔になって述べた。一行は柔道場から離れてそのうえでその新校舎の方に戻った。今度は新校舎の中に入っていた。
 ボードの壁紙を見る。そこには高校のポスターもある。皆はそれも見てだ。
「ここで貼るのも同じか」
「だよな、同じだよな」
「そうよね」
 皆それを見てまた話す。
「タイムスリップしたような気になってきたよ」
「けれどポスターはな」
 しかしポスターにある月日は今である。タイムスリップしていないのはそれでわかる。それは見ればすぐにわかることであった。
「今だしな」
「だから違うんだよな」
「ちゃんと月日は経ってるのね」
 そのことを認識するのだった。
「そうか、あの時じゃな
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