8.提督が怒った理由
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スカ?」
「んー…それはあいつの出方次第かな…」
「でもテートク優しいから、叱ってもあまり迫力がなさそうネー」
「ハハ……」
「叱るんなら、キチンと叱らないと駄目ダヨー?」
「そうだねぇ」
執務室の外から、大勢の足音と話し声が聞こえてきた。『提督、喜んでくれるかねー』という伊勢の声や『これもみんなが頑張ってくれておかげだ』という木曾の声も聞こえた。その声を聞いた提督は、立ち上がり上着のボタンを上から外していった。
ドアがノックされ、ドアの向こうから木曾の声が聞こえた。
「第二艦隊ただいま帰投した。作戦報告に来たぜ」
「お疲れ様。入れ」
提督は入室を促し、同時に上着を抜いだ。上着の下は割と体の線が分かる細身のYシャツを着ている。背が高く、細身な体格をしていたのは分かっていたが、腕が思ったより筋肉質なのが、Yシャツの上からでも分かる体つきをしていた。
それと同時に、木曾を先頭として第二艦隊全員が入室してきた。夕立以外は見事に全員ボロボロの状態だ。特に木曾がヒドい。胸が露出しそうなほど服が破け、自慢の眼帯も取れている。サーベルの鞘も折れ曲がり、頭部からも少し出血しているのか、額から血がたれていた。
「来たぜ提督。言われたとおり、入渠前に来た」
「ああ。とりあえずこれを着て前を留めろ。目のやり場に困る」
提督はそう言って、木曾に自身の上着を投げた。これから叱られるというのは分かっていたが、彼の上着を着ることが出来る木曾に対して、ちょっとヤキモチを妬いたのは秘密だ。
「助かる。俺もこう見えて女だからな。正直少し恥ずかしかったんだ」
「みんなは大丈夫か? 榛名も大破判定だったはずだが?」
「榛名はほとんど艤装へのダメージだったので大丈夫です!」
「そうか。ならよかった。みんなも大丈夫そうだな。……木曾、ちゃんと着たか?」
「ああ。待たせてすまん。これで大丈夫だ」
木曾は提督の上着を来て、ボタンをしっかりと閉じた。木曾は非常に男らしい艦娘だが、それでも女の子なんだなぁということは、着た提督の上着が非常に大きくてブカブカなことからも分かる。袖も長く、袖口から指が申し訳程度に出ているだけの状態だ。今の木曾は、あの痛々しい傷さえなければ本当にかわいい。私も提督の上着を着ることができれば、あんなにかわいくなれるのだろうか…などと浮ついたことを考えていた。
「すまん提督、上着に血が付いた。返すときにクリーニングして返せばいいか?」
木曾がそう言い終わるか終わらないかの時だった。木曾の近くまで来た提督は、突然木曾が着た上着の襟を右手でつかみ、ものすごい勢いで木曾を自分に引き寄せた。その後、襟をねじり上げると、木曾の顔のすぐそばまで自分の顔を近づけた。
「お前な…一体どういうつも
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