アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 03
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ばに降り立ってそう言った。
「ふふ、まさか。 ここから大逆転の予定だったんだよ」
「あはー、それは悪いことをしたですねー。 そんなフォラスくんにぷれぜんとふぉーゆーです」
「ん」
怪しい発音の英語を言いつつ、僕の口に突っ込んできた麻痺解毒用のポーションを飲み下す。
これは僕が持てる全ての知識と熟練度を集約して調合したポーションだ。 効果は店売りの物よりも早く、実験ではレベル8の毒による麻痺でさえ、たったの10秒で治してみせた。 この麻痺がどの程度のものかはわからないけど、少なくともそれ以上と言うことはないだろう。
と、適当に当たりをつけた直後、デバフアイコンが消えた。
所要時間は約6秒。 経験則から判断するに、レベル7相当の麻痺毒だったらしい。
「アマリ、軍のお馬鹿さんたちを壁際まで運んで。 それまで僕が時間を稼ぐよ」
「独り占めは許さないですよ?」
「わかってる。 じゃあ、頼んだよ」
「了解ですよー」
頷いたアマリの頭を軽く撫でてから僕は駆け出した。
HPは6割を切っているけど、それを気にしていられるほどの余裕はない。 転倒から復活したグリームアイズを止めないと、まだ麻痺の抜けない軍の一団が全滅しかねないのだ。
「みんなも軍を端に避難させて!」
アマリに続いてボス部屋へと足を踏み込んでいたキリトたちにもアマリと同様の指示を出す。
遠巻きに見ていたみんなも状況は察しているらしい。 それぞれが威勢良く返事をすると、グリームアイズを大きく迂回して軍の一団の救助に向かってくれる。
「さて……」
ここからが僕の仕事だ。
軍の一団にボスが向かわないように食い止めつつ、あの範囲攻撃を使わせないよう立ち回らなくてはならないのだから、その難易度は言うまでもないだろう
それでも、僕に気負いはなかった。
「あなたの相手はこの僕だ」
大剣を携えるグリームアイズの両足を雪丸で薙ぎ、僕はそう宣言した。
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