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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの死闘を 03
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れるような軟弱者ではなーー」

 ヒュンッと空気を切り裂く音。
 コーバッツの鼻先を雪丸の刃が掠めると、さすがのコーバッツ(馬鹿)も言葉を失った。

 「誰かを巻き添えにするのは許さない。 そんなに死にたいならあいつを殺した後に僕が殺してあげるよ」

 コーバッツは僕の顔に何を見たのだろう? その表情を恐怖に染め、一歩後ずさった。
 僅かにできた空白を見逃すわけもなく、僕はそのまま声を張り上げる。

 「軍の人たちは早く撤退して!」
 「だ、駄目だ! 結晶が使えない!」
 「だったら、ボスを迂回しつつ部屋の端に! ボス部屋の外はモンスターが出るかもしれないから危険ーー」

 僕の指示がグリームアイズの咆哮に掻き消される。
 瞬間、部屋を照らす幾多もの青白い炎が揺らめき、その身を雷撃へと姿を変え、部屋にいる僕を含めた13人全員を貫いた。

 ーー範囲攻撃?? しかもこれ……

 床に倒れこみながら、僕は戦慄する。
 視界の左上に表示された4本のHPバー。 その最上段にある僕のHPバーの枠が緑色に点滅し、右端に同色のデバフアイコンが表示される。
 現状考えうる最悪のバッドステータス、『麻痺』。
 最弱のものでさえ自然回復に結構な時間がかかる悪辣な状態異常を受けた僕は、抵抗する術もなく地に崩れ落ちた。

 僕とアマリが偵察した際、あんな攻撃を使ってはこなかった。 おそらくボス部屋にいるプレイヤーの数が一定以上になると使用するスキルなのだろう。 そう言う条件で繰り出される攻撃があることを僕は知っていたのに、完全に油断していた。
 麻痺中は利き腕以外動かないので、回復はかなり難しい。 おまけに一瞬で状態異常を回復してくれる浄化結晶は使えないのだ。 色々とあって耐毒スキルをカンストしている僕は、ある程度の時間で回復するだろうけど、それでもこのままグリームアイズが何もしないでいてくれるわけがなく、地に伏した全員が殺されることは避けられない。

 そんな絶望的な状況で、僕は小さく笑った。

 気が触れたわけではない。 もちろん諦めたわけでもない。
 僕は絶望の直前、確かに聞いたのだ。

 聞くものが聞けば身の毛もよだつ、けれど僕にとっては頼もしくも愛おしい狂気の笑声を。 だから心配はない。

 「あっはぁ!」

 聞きなれたそれと同時、倒れこんだままの視界に収まっていたグリームアイズの巨体が吹き飛んだ。
 そして、開けたそこにいたのは桜色の髪を持つ少女。 惨殺天使などと言う物騒極まりない異名で呼ばれるアマリが、有り余る狂気を滲ませ、ただただ笑っていた。

 「もしかしてピンチだったですかー?」

 グリームアイズを吹き飛ばして転倒させたアマリは、そのまま追撃するでもなく跳躍すると、僕のすぐそ
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